無料相談ダイヤル
秘密厳守いたします。
受付:24時間対応(年中無休)

株式会社Free Spark

顧客満足度と品質の向上、従業員の成長のためにSaaS企業の譲渡を決断

譲渡企業譲受企業
㈱Free SparkMattrz㈱
東京都東京都
Webマーケティングツールの開発及び販売ウェブメディア及びDX支援事業
スキーム 株式譲渡

多機能マーケティングプラットフォームの開発・販売を手掛けるIT企業の創業者、中山健彦氏(33歳)は、このほど創業から4年間成長し続けたこのIT企業の株式譲渡に踏み切りました。創業の経緯や好業績の秘訣、M&A検討の理由、仲介会社を選定した基準、譲渡先を選ばれた理由などについて伺いました。

 

お客さまが求めるサービスを自分で作ろうと創業を決意

2017年7月に創業した経緯を教えてください。

私はずっとIT企業で営業の仕事をしていました。最後に在籍をしていた企業では、マーケティングツールの営業をしていました。その企業に在籍をしていた時に1,000社ぐらいのお客さまを訪問させていただいたのですが、各社にマーケティングに関する共通した課題がありました。それは、マーケティングツールに予算を多くかけられないという点と、マーケティングツールを導入しても、複雑すぎてうまく使いこなせないという点でした。

当時は、安くて1つの機能しか使えないツールと、様々な機能はあるものの高額で使いこなすのが難しいツールしかない、といった課題をお客さまからずっと伺っていました。これを解決するために、安くて多くの機能を持ち、それでいて複雑すぎないマーケティングツールを自ら開発して提供したいと考えたのです。これが創業のきっかけです。私が29歳の時でした。

起業することに躊躇しませんでしたか?

IT系の企業は結構、転職回数を気にしない会社も多いです。前職で上場企業の営業部長というポジションを務めさせていただきましたので、経歴的には十分で、仮に起業して失敗したとしても、転職できる自信があったので、あまり恐怖は感じませんでした。

主力サービスの統合マーケティングツール「SPARK」(※1)について教えてください。

「SPARK」のユーザーは、Web接客や離脱防止、チャットボット、ヒートマップ、プッシュ通知など、Webマーケティングに必要な多くの機能を一括して利用することができます。私と前取締役副社長でお客さまを訪問し、どのようなサービスを求めているかをヒアリングして、それを踏まえたサービス設計を行い、2017年10月に入社した白石(前取締役CTO)が開発し、2018年4月に正式リリースしました。
※1. 2021年6月にサービス名を「MATTRZ CX」(マターズシーエックス)に変更

「SPARK」の販売はいかがでしたか?

創業当初はお客様とのネットワークがなかったので、ゼロからテレアポで営業しお客さまを獲得しました。IT系でテレアポをしている会社はあまり多くなく、それが逆にチャンスだと思っていました。最初は苦労しましたが、誰もやってないテレアポを続けていけば結果は出ると思っていたので、気合いと根性で乗り切りました。

昨年から会社の規模を急拡大なさいましたね。

はい。2020年3月までは6人でしたが、最終的に従業員数は20人になりました。当時、「SPARK」のように多機能と低価格の両方を備えたサービスはなかったので、面談まで進めば、ほとんど受注することができました。私が社長をしていた間で、累計400社に当社のサービスを提供することができました。

1日のテレアポ対象企業の数と、実績向上の秘訣は?

30社ぐらいです。電話帳を見ながら上から順番にあたるというよりも、サービスを役立てていただける会社に絞って営業活動を行いました。営業力があったこともそうですが、どちらかというと、安くて多くの機能が使えるというポジショニングがうまくいったのだと思います。低価格だけれど利益が出るビジネスモデルをきちんと構築できたことが成功したポイントだと考えています。

「SPARK」の特長は?

一つ目は価格が安いこと、二つ目は機能がたくさんあること、三つ目はサポート体制がしっかりしていることです。

累計400社のサポート体制構築は大変でしたか?

私が社長をしていた当時もサポート部隊であるカスタマーサクセスが一番人数の多い部署でしたが、株式譲渡後の現在も強化していて、カスタマーサクセスだけで既に9名ぐらい採用していると思います。これからの成長のために人員が必要な部署です。

 

自己資本だけでは成長スピードが足りない

業績の伸びしろは、まだまだありますか?

もちろんあります。創業の経緯から、困っているお客さまがたくさんいることは分かっているのですが、どうしても人が足りないので、そのお客さまにしっかりと情報を届けることができていなかったのです。それが当時の組織の弱みでした。成長余力が大きいのに、ブーストが効いていないなと感じていて、それを自己資本だけでやり切ろうとすると、時間がすごくかかると思っていました。

2020年3月には6名だった人員を、そこから2020年12月までの9カ月間で300人ぐらい面接をして何人か増員したのですが、それをやるだけで、業務が追いつかなくなりました。加えて、広告を出したり、LPを作ってリスティング広告を出したり、メール配信、リード獲得、リードナーチャリングなど、いろいろなことをやりたかったのですが、全然やりきれてないことが良く分かり、自分達だけでやるのは限界があると痛感したのが2020年でした。

日本一のツール、サービスにするためには、どうしても資金余力と人員余力の二つが必要だと感じ始めたのですが、それを自分達の資本だけでやり切るのは難しいということも同時に分かり、株式譲渡を考え始めたというのが経緯です。

株式譲渡を考え始めた時期は?

2020年11月ごろです。それまでは独自資本でどうやってうまくやっていくかを考えていたのですが、5年ぐらい経たないと、私たちが想像する領域までいけないことがわかりました。その5年間で同業他社もどんどん成長していきます。私たちが戦っている相手は時価総額1,000億円規模の会社もあり、5年もかけているうちに、圧倒的な資金余力と人員余力で追い抜かれてしまいます。なんとか優位性をキープしながら、日本一のツールにするためには、外部の資金でブーストをかけないといけないと気付いたのです。

増資や新規株式公開(IPO)でなく株式譲渡を選択した理由は?

自分達が経営するよりも、経営のプロに任せた方がいいのではないかと考えたためです。私は営業畑出身ですから、営業のプロフェッショナルとしては、誰にも負けない自信がありました。ただ、5~10人といった少人数のマネジメントは得意なのですが、コーポレートブランディングや100名規模の大きな組織のマネジメントをした経験がなかったのです。今後その規模を目指していくとなると、自分達で成長をさせていくよりも経営のプロの方に任せた方が、より確実に会社を伸ばしていけるのではないかと思いました。

経営陣のM&Aに対する意思決定はスムーズでしたか?

もちろんです。何度も協議を重ねたので、全員同じ気持ちでブレることはありませんでした。

 

インテグループに依頼した三つの理由

多くのM&A仲介会社を比較・検討したということですが。

全部で9社と面談し、比較・検討をしました。相当こだわりました。最終的にインテグループに決めた理由は三つあります。一つ目は、インテグループの報酬体系です。M&Aが成立するまで、一切報酬が発生しない完全成功報酬制である点と、成功報酬も譲渡価格に対して5%という点です。他のM&A仲介会社も成功報酬制と言っているのですが、中間金が発生したりと実は内容が少し異なっていました。

二つ目は、担当してくださった中島さんの人柄です。各仲介会社の担当者の中には、結構やり手な感じの方などもいました。中島さんは初回のウェブのミーティングでも、どちらかというと、ひょうひょう、淡々としていて、話を盛らないという印象を受けました。他の複数の仲介会社の担当者が「絶対に大丈夫です」と調子のいいことを言っていたのに対し、中島さんは冷静に「いや、それはちょっと難しいですね」と率直におっしゃってくださいました。譲渡条件についても、あまりにも強気な方や弱気な方がいた中で、中島さんがちょうど良かったのです。そして何より、誠実な人柄が印象深かったです。

三つ目は、中島さんのIT業界に関する高い知見と適正な企業価値評価です。中島さんが最も適正に企業価値を評価してくださったことが最大の決め手です。中島さんは、変に嘘をつかない人です。とかく、他の仲介会社の担当者は「大丈夫です。絶対うまくいきます。私が言っていることが正しいので、私に任せてください」と言いがちな方が多いのですが、中島さんは「そのことについては、率直に言って、厳しいですよ」ときちんと言ってくださいました。そこに誠実さを強く感じたのです。

IT業界の実情を深く理解した上で、私たちの会社の価値と成長可能性に対して適正なバリュエーションをして、「御社は本当に、これからまだまだ伸びます」と言ってくださったのが中島さんでした。他の仲介業者は、「伸びるかどうかは分からない」といった感じでした。中島さんは、私たちの会社のこれからの成長性を一番信じてくれたのです。そして中島さんは一貫して、私たち経営陣が希望した譲渡の条件について、とても真摯に協力する姿勢で対応してくださいました。

担当した中島さんの対応は?

何でも言いやすい雰囲気を作ってくれましたね。上からでも、下からでもなく、とてもフラットな関係で接してくれたのが嬉しかったです。売却活動中は私から頻繁に電話させていただいたのですが、中島さんも忙しいはずなのに、常に「即レス」で対応してくださったので、とても良かったです。クロージングまでこちらは不安でしたが、中島さんは「何でもおっしゃってください」という感じで接してくださったのも良かったですね。

距離感がちょうど良かったのだと思います。私と中島さんは同世代ですが、友達みたいに馴れ馴れしい感じでもなく、逆にきちんとし過ぎてしまうと、ちゃんとした内容でないとメールしづらくなってしまいます。「ちょっとこの件、教えてください」という感じで、中島さんとは気軽に連絡を取り合うことができました。そして買い手候補との交渉の際にも、私たちの主張を整理して、言うことと言わないことをアドバイスしてくださったのは、とてもありがたかったです。

譲渡契約締結までの期間についてどうお考えですか?

ちょうどよかったですね。こちらもサービスを成長させるために、かなり慎重にならざるを得ない部分もあって、もっと早く進めようと思えばできたかもしれないのですが、サービスの成長、従業員の活躍の場について、きちんと納得した上で交渉を進めたかったので、ちょうどよかったです。

 

譲渡に満足、後悔なし

譲渡に満足していますか?

もちろん満足しており、後悔していません。創業の経緯もそうですが、困っているお客さまを笑顔にしたい、お客さまの満足度を上げることが、巡り巡って自分に帰ってくるという、いわゆる「情けは人のためならず」という考えを持っています。目の前にいるお客さまにとにかく満足していただくことで、自分のスキル、人生の充実感や潤い、生きがいが得られると考えています。そのためには、自分でやるよりも、売却した方が、よりお客さまの満足につながっていくと思うので、後悔は一切していません。

譲渡までの間、複数の買い手候補との交渉はいかがでしたか?

いろいろありました。会社を成長させるために私たちが求めた四つの条件がありました。一つ目はお客さまにより満足していただくということです。二つ目は従業員一人一人が成長できる環境を与えてほしいということです。三つ目は、「SPARK」を日本一のサービスにすることを目指してほしいということです。四つ目は事業を拡大させるための予算を潤沢に確保してほしいということです。

複数の企業さまと面談を重ねていき、譲渡先となったMattrz社と、Mattrz社に投資しているファンドのJ-STAR社に出会いました。J-STAR社の担当者の山下(直飛人)さんが、私たちのビジネスを非常に良く理解してくださり、面談の際には私たちが思いつかなかった当社の成長戦略をお話して頂きました。私は、山下さんほど、優れたビジネス感覚と幅広い知見を持っている方に出会ったことがなく、あまりのレベルの高さに初めて出会ったときは衝撃を受けました。山下さんに出会ったことで、J-STARグループのMattrz社に株式譲渡をするのが最も良いのではないかと考えるようになりました。

複数回ディスカッションを重ねたのですが、従業員が挑戦して成長できる環境があり、潤沢なマーケティング予算を組んでくださり、積極的な採用活動を展開してくださるというように、私たちが求めた条件を汲み取っていただき、それに合わせた成長戦略をご提案をいただきましたので、J-STAR社と進めることを決断しました。

譲渡活動をして分かったのですが、M&Aは人との縁も重要です。担当者が山下さんでなければ、違う相手先を選定していた可能性もあるので、山下さんと山下さんを紹介してくれたインテグループには、とても感謝しています。

 

譲渡後のさらなる成長に期待

シナジーが期待できるということですね。

はい。既に採用活動をかなり積極的に行っていますし、私たちが手を出してこなかったようなマーケティング施策も既に動き始めてきているので、これからの成長に向けてとても期待できます。

成長のために動いていただいているというところにすごく満足しており、私たちとしてもしっかりバックアップするつもりです。

譲渡についての反響は?

私が代表を外れたタイミングでご連絡させていただいたお客さまから、嬉しい言葉をたくさんいただきました。「中山さんがサービスを紹介してくれたおかげで、今、こんなにECの売り上げが伸びました。本当に貴重なご縁をいただいて嬉しいです。ありがとうございました」といったお声が十数社から届いています。とても嬉しかったですね。

社内の雰囲気はいかがですか?

現時点では、皆がキラキラしています。譲渡を説明した時は少し戸惑いを見せた従業員もいたのですが、きちんと理由を説明して、「君たちにとってチャンスが増えるんだよ」と伝えたところ、とても前向きに捉えてくれるようになりました。従業員が「自分達で事業を成長させることができるんだ」と考え、能動的に仕事に取り組むように変わりました。

譲渡したことで従業員がやりがいを感じ、待遇も良くなり、事業が成長できる環境になったと考えています。それはお客さまにとっても嬉しいことです。私たちでやるよりも、Mattrz社と一緒に成長に向かって走っていく方が、スピード感や事業規模など、全てが良くなったと確信しています。

 

譲渡目的の明確化が重要、会計・帳簿もしっかりと

譲渡を検討している経営者へのメッセージはありますか?

たくさんあるのですが、まず目的をはっきりさせる必要があると思います。私たち経営陣がもめなかったのも、最初から目的をきちんと決めていたからです。しっかり会社を成長させて、ナンバーワンのサービスにするということが目的だったので、それを実現させるために、どういう相手がいいのかという観点で臨みました。最高の譲渡先を探すため、インテグループの中島さんと一緒に、同じ方向を向いて進むことができました。譲渡の目的には、資金、あるいは引退など、いろいろあると思うのですが、それをはっきりさせてから動いた方がいいと思います。そして、従業員への引継ぎや、会計・帳簿の整備をしっかりしておくことです。

逆に、M&A仲介業者に対するご意見は?

会社の市場価値をはっきり知りたかったのですが、私たちのようなSaaSに対する知見のない仲介会社の担当者が多いことに気付きました。そのため、私たちの会社に対する評価が低過ぎる仲介会社が結構多く、きちんとSaaS業界の知識を持ってもらいたいと思ったのですが、インテグループの中島さんはSaaSへの知見を持つバランス感覚の優れた人物でしたので、とても良かったです。

今後、新たに事業を始める考えは?

将来的にはあるかもしれないですね。私はどちらかと言うと、エネルギーを持って、ゼロから生み出すことが得意なので、ツール「MATTRZ CX」(旧SPARK)をしっかり成長させて、業界トップを目指せる軌道になった時に、少しそういったことも考えられると思います。

 

インテグループ担当者からの一言
急成長しているSaaS企業をPEファンド傘下のIT企業に経営を引き継いだ事例
Free Spark様に私が初めてお会いしたのは、業績は急激に伸びている時でした。そのため、決算書がFree Spark様の収益力を正しく反映していませんでした。細かなKPIをヒアリングさせていただいた上で、適切な企業価値評価を行うことで、当初希望の条件で最良のお相手と成約することができました。インテグループでは、サブスク型やSaaSのビジネスモデルの企業様のご支援に豊富な実績がありますので、ぜひ企業価値評価等ご相談ください。
コンサルティング部
シニアマネージャー  中島知広