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株式会社スクープイン

後継者不在のため売却を検討、大切な社員を同業の新興企業に託す

譲渡企業譲受企業
(株)スクープイン(株)パワーエッジ
兵庫県東京都
システムエンジニアリングサービスシステム開発
スキーム 株式譲渡

「親から引き継いだ社長は世襲しようと考えるが、私みたいに一代で会社を築いた社長は、子どもには継がせないという人が多い」。こう話すのは、ソフトウェア会社スクープインの創業者、西康之さん(60歳)。「人生100年時代」と言われ、可能な限り社長業を続けようと考える経営者も多いと思いますが、後継者不在が明らかな場合は、未来ある社員のためにも、早めの決断が大切になるのかもしれません。西さんは60歳のタイミングで譲渡を決断しましたが、リタイアすることなく、新たなステージを目指すそうです。M&Aを経験しての感想、早めの売却に成功するためのポイントについて伺いました。

 

顧客企業の中に入り開発プロジェクトの中心的役割を担う 

ソフトウェア開発を手掛ける株式会社スクープインを1996年に設立しました。創業のきっかけは。

きっかけというほどではありませんが、SE(システムエンジニア)としてシステム会社に勤務していて、どこかのタイミングで独立したいと考えていました。前年に阪神淡路大震災があって被害を受けた取引先も多かったのですが、そのときに、勤務先の社長とちょっともめまして……。

実は、震災当日に辞表を出す予定だったのですが、上司に相談すると、「どうなるかわからないから、しばらく引っ込めておく」と言われて。それでも、独立の意思は固かったので、自分でやろうと会社を辞めました。

IT業界は人材の流動化が激しい業界です。震災がなくても、いつかは独立・フリーになることを考えていたのでしょうか。

学生時代から起業したいという思いは漠然とありました。父親のサラリーマン姿が反面教師になったのかもしれません(笑)。母親が商売人の娘だったので、自分で商売をやるほうが向いているかなとも感じていました。

起業したのは38歳でした。会社の立ち上げは大変ではありませんでしたか。それとも、SEとしての経験と実績を持って、スタート当初から仕事は順調だったのでしょうか。

幸いなことに、大学卒業後、最初に就職した会社の社長さんに可愛がっていただきました。会社を辞めて独立すること連絡すると、「まずはうちに来て、仕事をつくれ」とおっしゃっていただいて、起業の1カ月前から、その会社のオフィスにスペースを借りて、仕事のお手伝いをするところから始まりました。その会社は、大手電機メーカーを顧客に持ち、高速道路の料金システムなど大型のシステム開発を手掛けていましたから、やることはたくさんありました。

そして、起業してから、最初の3年間は業績も順調に伸びていきましたが、4年目に大口のお客様との取引が終了すると、仕事が激減しました。ちょうどその頃、インターネットの黎明期で、同業の後輩が独立を考えていて、彼と一緒にインターネットに特化した事業を伸ばしていこうということで、ネット関連の専門技術者を集めて、いろいろ仕掛けていきました。そのなかで、新潟の取引先が飛んで3000万円くらい取り損ねたことがありました。その後も、ITバブルの崩壊やリーマンショックなどがありましたが、あの時が一番苦しかったですね。

ソフトウェア開発会社としてのスクープインの強み・特長は何ですか。

一番の強みは、お客様の会社の中に入って、プロジェクトの中心的役割を担うことができる点です。仕事ぶりをご評価いただき、1つの案件が終了した後も、引き続き次の案件を依頼されて、お客様との契約期間は10年、15年と長期にわたることが多いです。

幅広い業種・分野のお客様と取引していますが、直近の3年間では、船舶関連のナビゲーション・レーダーの開発、SAP導入企業のコンサルティング、システム開発、複合機・プリンタドライバの開発などを手掛けています。

スクープインはインターネットの黎明期に創業し、その後、ITの世界、デジタル技術の変化は目覚ましいものがあったと思いますが、何が一番大きな変化でしたか。

印象に残っているのは、かつて提案しかけていたものが、最近になって商品・サービスとなって出てきているということです。メーリングサービスもそうですし、検索エンジンもつくっていました。プロバイダーがない時代に、サーバーを自社に置いたりもしていましたから、すべてタイミングが早かった。一つ言えることは、タイミングが早すぎても、ビジネスとして儲からないということです。すべてはタイミング。それが難しいですよね。

20数年に及ぶ社長業を振り返っていかがですか。ひと言でまとめるのは難しいと思いますが。

当然、山あり、谷ありでしたが、私自身はサラリーマンより楽しかったので、満足しています。仕事をとってくること自体は全然苦労がありませんが、ただ資金繰りだけは、自分の力だけでは何ともならないことがあるので、創業当初はそこで悩んだりして眠れないこともありました。それでも途中からは、金融機関との交渉術も覚えて、度胸が据わっていきました。

 

5社と面談し、2社から意向表明を受ける

今回、60歳を迎えるタイミングで会社の譲渡を決断されました。年齢的にはまだお若いのではとも思いますが、理由は何だったのでしょう。

10年後、15年後を考えたときに、いつまで(会社の経営を)できるのかということで、そのあたりは社員もきっと不安に思っているだろうというと感じていました。さすがに70歳、75歳まで続けるのはキツイですから。一番大きな理由は、後継者の不在です。残念ながら、私には事業を継がせる子どもがいませんし、社内にも適任者はいませんでしたから。

とはいえ、60歳という年齢にこだわったわけでは決してありません。2018年10月から一般派遣の法律が変わったのですが、当社は借入金が多いため、労働者派遣事業許可申請に必要な財産的要件をクリアすることができないことがわかっていて、すでに許認可を取得している事業者に売却できれば、社員も仕事もスムーズに移行できるかなということで、たまたまこのタイミングになったというわけです。

会社の譲渡を決意し、インテグループに相談されたわけですが、並行して他のM&A仲介会社などにも相談したりしましたか。

他の仲介会社には相談していません。知り合いの紹介で弁護士に相談したことはありましたが、あとはインターネットで検索したくらいです。仲介会社は大企業相手のケースが多く、そのなかでもインテグループさんは、中小企業に特化されているわけではないでしょうが、豊富な経験と実績をお持ちのようで、着手金も取らない完全成功報酬制のM&A仲介会社でした。着手金を取る仲介会社は最初に除外しました。

私からインテグループさんのホームページから問い合わせさせていただいて、すぐに返信があり、最初に打ち合わせたのが今年(2018年)の6月のことです。担当の依田さんから次から次へと買い手候補を紹介いただき、その対応に追われる日々でした。

5社と面談し、2社から意向表明が出たそうですが、どんな会社でしたか。

同業のシステム会社、ソフトウェア会社もありましたが、なかには介護関係の会社が他業種展開という形でM&Aを検討されていたり、大手電機メーカーにお勤めの個人の方が、独立するために企業買収を検討されているケースもありました。私としては未来のある大切な社員を預けるわけですから、同業のほうがスムーズにいくのではないかと考えていました。8月の上旬に3社、下旬に2社と面談し、後半の2社は同業で、社長さんとのやりとりもそれなりの手応えがありましたから、いずれかに決まるだろうなという予感はありました。

譲渡先として決まった株式会社パワーエッジですが、同業であること以外にも決め手は何だったのですか。

やはり、最初からリスクを取っていただいたところです。結構な借入金があったのですが、すべて私の個人保証を外すと言っていただけたので、そこは大きいです。もう1社は、そこ(借入金の個人保証)はそのままということで、リスクを取っていただけそうもありませんでした。その他の条件は良かったので、私があと10年、15年若ければ魅力的な話ではありましたが。

パワーエッジは次のIPO(新規株式公開)候補とも言われる「ベストベンチャー100」に9年連続で選出された新興企業です。塩原正也社長とお会いして感じたのは、技術についてもよく理解していらっしゃるということです。私もこの業界に長くいますが、感覚的に近いというか、コミュニケーションがとりやすく、この人なら大丈夫だと確信しました。

 

社名は残り、社員に不利益になることは一切ない

9月中旬に契約書を締結し、下旬には株式を譲渡されました。実際に売却しての感想や満足度についてはいかがですか。

まだ株式譲渡の後処理や業務の引き継ぎに追われているような状態で、売却を実感するひまがありません(笑)。それでも、借入金の個人保証が外れたことについては安心しています。株式譲渡に当たって、依田さんには「できるだけ高く」ということは当然伝えていましたが、ほぼ描いていた通りの結果になったかと思います。あまり欲張ると、まとまる話もまとまらなくなりますからね。

スクープインのオフィスは今、閑散としていますが、この後はどうなるのですか。

11月中にはパワーエッジの大阪支社に引っ越す予定です。

社員のみなさんには、どのタイミングで会社売却の話をしたのですか。

契約が完了した後に、オフィスに集めて話しました。社長が変わり、営業部長も定年退職でいなくいなるが、その他は大きく変わることはない。社名はそのまま残る。あとは、所属する会社が財務面を含めて、現状よりも大きくなるので、君たちに利益になることはあっても、不利益になることは一切ないよ、と伝えました。明らかにプラスになることは、社員にもすっと理解してもらえたようです。

西さんご自身の今後の予定は。

仕事をするつもりです。特にプランはありませんが、夢みたいなことは考えているんですけれど、まだ形になっていない状態です。それは別として、現実的に65歳までは収入を得ないと、住宅ローンも残っていますし。

フリーのSEとして、仕事を続けるのですか。

それはないです。株式の譲渡契約には競業避止もあるので、同業の仕事はできないのです。昔お世話になった方々から、仕事を手伝ってよというお声がけもあるのですが、競業する場合は、パワーエッジさんに確認する必要があります。もっとも、この業界から離れたいという思いもあります。

差し支えなければ、夢のような、形になっていない話をぜひお聞かせください。

東南アジアから労働人材を日本に持ってくるというような話です。今年のゴールデンウィークに東南アジアに旅行に行ってきたのですが、物価は安いし、人々はピュアだし、労働人材として手つかずの印象を受けました。たまたま私の周りに東南アジアの現地法人社長を務めた人間が2人もいて、政府・監督官庁に話をつけられるのであれば、計画を具体化しないかと言っているのです。日本に来てくれる人材には、建築関係から飲食関係、製造、サービスなど、いろんな業種で働いてもらおうと考えています。

年金をもらうまでは、働かなきゃと思っていますし、私自身、じっとしておくのがダメな性格ですから。

 

売却するかどうかは別として、専門家に相談を

M&Aで会社売却を経験されて、想定していた通りだったこと、あるいは想定外だったことは何ですか。

すべてが初めてで、手探りの状態でしたから、依田さんのおっしゃる通りにやるだけで、想定も何もないです。

確かに、会社を売却するなんて、何度も経験することはないでしょうからね。

買う側は何度かするのでしょうけれど、売る側は1回、せいぜい2回くらいです。それに何度も立ち会っているのがインテグループの依田さんですから、豊富な知識と経験を頼りにさせていただきました。

初回の打ち合わせから面談、デューデリジェンス、契約締結そして譲渡まで3カ月と短期間でことが進みました。これは成功と言っていいかと思いますが、何がポイントでしたか。

当然、段取りがうまくいったということもあるでしょうが、買い手側も同業者だったので、一般派遣の問題をよくご理解いただいていたので、そこをターゲットに両者が早め早めで対応していったということでしょうか。

後継者不足の問題から、会社の売却を検討している経営者にメッセージ、アドバイスをお願いします。

会社売却はあくまでも選択肢の1つではありますが、一度、専門家の方の話を聞くのは絶対にプラスになると思います。売却を実行するかしないかは別として、ぜひ相談されてはいかがでしょうか。

相談相手を選ぶ際に、着手金を取るような仲介会社は止めたほうがいいと思います。そこしかないわけじゃありませんし、A社に相談してダメなら、B社、C社に行けばいいのですから。そのぐらいの考え方でいいんじゃないでしょうか。

インテグループ担当者からの一言
M&Aにより技術力の高い従業員を同業大手に譲渡した成功事例
船舶関連のナビゲーション・レーダーの開発、複合機のドライバ開発、日本が世界に誇る製造メーカーの基幹システムを手掛けています。最初に伺った時は、一流メーカーが外注しているという事実に驚きました。今回は、優秀なエンジニア及び優良な顧客がM&Aにより引き継がれた成功事例になったと思います。
コンサルティング部
マネージャー 依田真輔