自身の健康問題のため、グループホーム事業(売上:約1億円)を、その地域への進出を目指す介護会社に売却。
売り手企業
事業内容 | グループホームの運営 |
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売上 | 約1億円 |
売却理由 | 後継者不在 |
買い手企業
事業内容 | 介護業(上場企業) |
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売上 | 約500億円 |
買収目的 | 規模のメリットの追求 |
スキーム | 事業譲渡 |
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概要 | 売リ手の会社は、首都圏の中核都市で、2ユニットのグループホームを運営しており、人口集積地域の住宅街という好立地や、施設の美しい外観・上品な内装等により、利用者家族の評判も高く、業績は堅調に推移していた。 しかし、同社の社長は健康上の問題を抱えており、自身に万一のことがあった場合を考えて、グループホーム事業の譲渡を決断した。 グループホームの買収ニーズは非常に強く、すぐに複数の買い手候補が強い興味を示し、何社かとの面談を重ねる中で、条件面や引き継ぎに関し、売り手社長の最も納得のいく提示をした1社を、譲渡先として選択した。 買い手企業は、グループホームを含む様々な介護事業等を展開する上場企業で、グループホームの買収による新地域への進出を検討していた。 買い手企業の柔軟な対応により、かなりタイトなスケジュールの中でも、売り手社長の希望どおりにプロセスが進み、また、行政への説明・報告もスムーズに進み、大きなトラブルがないまま順調に成約に至った。 なお、本件のスキームは事業譲渡であったため、M&A後も、売り手の会社は存続することになる。 したがって、M&A後の存続会社の安定性を考慮し、グループホームの不動産(土地・建物)は売却せずに、買い手に賃貸するという形をとった。 これにより、売り手は、事業管理の煩雑さから解放される上、、毎月安定した賃貸収入を得ることができ、また、買い手は、不動産を賃貸することで投資額を抑えつつ、事業を拡大することができた。 【グループホームM&Aの趨勢】 平成24年4月から適用となった介護報酬の改訂により、グループホーム事業の収益環境は厳しくなってきており、また、今後予定さている消費税率のアップも、 消費税が取れないグループホーム事業の収益性を悪化させる一因となると予想されている。 そのような経営環境の悪化の中で、人材採用・管理の煩雑さや、24時間365日稼働というグループホーム事業の本質的な特性が、運営事業者の負担となってきており、1拠点、2拠点の小規模なグループホーム運営会社や、本業以外の事業としてグループホームを運営している会社の中には、会社売却や事業譲渡を検討するところが増えてくると考えられる。 一方、新施設の建設についての地元の同意や行政の許可の取得の難しさや投資負担等から、既に建設・開業済のグループホームを買収したいというニーズは非常に強い。 このように、売り手・買い手のニーズが合致している状況から、グループホームのM&Aは活発化していくと予想される。 ![]() 参考:グループホームのM&A・売却・事業譲渡 |