買い手ニーズの高まり
M&Aは「売り手がいないと始まらないが、買い手がいないと決まらない」と言われる。
最近、買い手の買収意欲が旺盛になってきている。そういう意味では成約しやすい地合いになってきたと言える。
様々な業種の中でも特に買い手が多いのが、調剤薬局、施設介護(有料老人ホーム・グループホーム)、ビルメンテナンス会社、通販・EC等である。
やはり、安定して利益が出る、市場が拡大している分野は買い手からの要望が多い。
(参考)
業界別M&A情報:調剤薬局のM&A・売却・譲渡
業界別M&A情報:施設介護(有料老人ホーム・グループホーム)のM&A・売却・譲渡
業界別M&A情報:ビルメンテナンス会社のM&A・売却・譲渡
業界別M&A情報:通販会社のM&A・売却・譲渡
弊社でも現在これらの分野のM&A仲介に積極的に取り組んでいるが、条件設定さえ間違えなければ、成功裏に売却できる可能性は極めて高いと言える。
ところで、なぜここにきて買い手が多くなってきたのかは、はっきりとは分からない部分もある。
通常買い手の意欲は景気に連動するが、景気は一進一退であり、必ずしも上向いているわけではないからだ。
考えられるのは、中小企業のM&Aが認知されてきて、潜在ニーズが顕在化されてきたということ、またM&A仲介会社の中でも、弊社のような成功報酬型が好まれだしてきているからであろう。
藤井一郎
12/Sep.2012 [Wed] 16:37
ホームページのリニューアル
今月より全面的にリニューアルしたホームページを公開しています。
弊社のようなM&A仲介会社はあくまで黒子の存在ですので、これまではいっさい実績は公開していなかったのですが、新しいサイトでは、具体的な名称等は出さずに多数の実績を紹介していますので、よろしければご覧ください。
実績以外にも、料金体系をより分かりやすくしたり、弊社の特徴や弊社のお客様の特徴も記載しています。
お客様にも分かりやすいと好評を得ており、実際今月のM&Aの売却・買収のご依頼の数は過去最高レベルに達しています。
引き続きホームページは充実させて行きたいと考えておりますので、改善点をご指摘頂ければ幸甚です。
藤井一郎
27/Jul.2012 [Fri] 19:49
社長の引退年齢について
先日、成約した案件の売り手社長は60歳でした。
心身ともに健康で、仕事も順調。
一般的には、引退を考えるタイミングではないかもしれません。
しかし、社長は、もともとサラリーマンの退職年齢である60歳で、経営から身を引こうと考えていらっしゃったそうです。
弊社にご相談頂く社長の年齢は様々です。
20代半ばの若手社長もいらっしゃれば、80歳目前の大先輩もいらっしゃいました。
歳の取り方や人生感は、個人個人異なります。
したがって、一概に何歳で引退すべきという普遍的な基準など、設定のしようがありません。
ただ、一つ言えるのは、引退の年齢をしっかり決めておいた方が、スムーズに引退できるということです。
社長が引退するには、主に以下の3つのパターンしかないでしょう。
①後継者に任せる
②会社を清算する
③会社を売却する
①の後継者に任せる場合、自分の子息が事業を継承する意欲があれば良いですが、従業員に引き継がせるには、いろいろと難しい問題があります。(従業員への承継のハードルについてはこちらもご参照ください)
また、子供にしろ、従業員にしろ、後継者として任せるためには、10年、20年の時間をかけて、後継者として育成しておく必要があります。
そのような育成は、自分の引退時期を考えて、十分な時間的余裕をもって進めていくべきでしょう。
②の会社の清算は、取引先・従業員のことを考えると、そもそもあまり良い選択とは言えません。
また、③の会社の売却も、決して容易な選択肢ではありません。
今日思いついて、明日会社が売れる訳ではないのです。
そもそも、買い手が出てくるような魅力のある会社である必要があります。
また、現在の会社が良い状態であったとしても、決断をずるずると先延ばしにして、業績が悪化してから売却に動き出すようでは、買い手が見つかる可能性は低くなってしまいます。
結局、後継者に任せるしろ、他社に売却するにしろ、スムーズに引退するには、前もって準備をしておく必要があるということです。
今回の売り手の社長様は、自身の引退年齢を明確に意識して、会社経営をしてこられました。
当初は、従業員への承継を意識して動いてこられたようですが、残念ながら、経営を任せるに足る社員を育てることができず、弊社の支援のもと、会社を譲渡することを決断されました。
誠実な社長の人柄を反映するように、会社の財務内容は、おかしな投資や無駄な経費のない筋肉質なものでした。
その背景には、いつか従業員(もしくは他社)に継承するという意識があったのだと思います。
これまでの会社の歴史を語られる社長の言葉の節々に、誰に見せても恥ずかしくないような会社経営をしてきたとの自負が感じられました。
全ての経営者に、引退の時期はかならず訪れます。
それが、5年先でも、10年先でも、良いと思います。
自分がいつ引退したいのか、一度、真剣に考えてみてはいかがでしょうか?
籠谷智輝
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28/Jun.2012 [Thu] 15:48
エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの資質
エムアンドエー(MアンドA)がクローズアップされてきたせいだろうか、M&Aプロフェッショナル資格やM&Aアドバイザー資格といったM&Aに関する民間資格が出始めている。
現状、エムアンドエー(MアンドA)のアドバイザリー・仲介業務を行うためには、特別な資格は必要ない。
一般的なエムアンドエー(MアンドA)アドバイザーとして要求される資質としては、法律知識・業界知識・ネットワーク・実務経験などだろう。
ただ、日々中小企業のM&A案件に関与する中で、私は、中小企業のM&Aアドバイザーには、大企業のM&Aアドバイザーとは異なる、ある資質が必要だと感じるようになった。
それは、共感力である。
私は、監査法人時代、売上1兆円規模の会社の財務諸表を見てきたが、私にとって、それらはあくまで帳簿上の数字で、記号にしか過ぎなかった。恥ずかしい話だが、数字の背後にある生身の人間の血の通った活動をイメージし、感じ取る能力を欠いていた。
しかし、家業、そして現在のビジネスを行っていく中で、決算書の数字は、経営者・従業員の情熱が込められた、血の通ったものである、と理解し始めた。
たとえ、数千万円の売上であっても、その裏側には、会社を育て上げた経営者様の苦しみ・喜びが存在する。
私は、経営者様と面談させて頂き、決算資料を拝見する瞬間、その数字の重さに震える程の感動と、その会社の譲渡をお手伝いすることへの痺れるほどの喜び、そして責任を感じるようになった。
会社売却は、オーナー経営者様にとって、そして会社そのものにとって、最大とも言えるイベントである。
その一大イベントをお手伝いするエムアンドエー(MアンドA)アドバイザーこそ、経営者様の会社・事業に対する思いの最良の理解者・共感者であるべきだと思う。
経営者様の事業に対する情熱・事業に込めた魂を、共有・共感できる能力こそ、中小企業のエムアンドエー(MアンドA)アドバイザーに、最も求められる資質ではないだろうか。
関連記事>エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの見分け方
18/Apr.2012 [Wed] 14:33
熟年起業とエムアンドエー
3月末にエムアンドエーが成立した会社は、あるニッチ業種で国内シェア8割超の優良企業だった。
同社を創業したA社長は、50代で脱サラし、設立後わずか9年で、会社をここまで伸ばしてこられた。
事業は順調そのものだったが、会社の更なる発展には、自信の年齢と組織力の無さが弱点になると感じ、M&Aという道を選択された。
当然、多くの買い手から買収の打診があり、ある上場企業への譲渡が決まった。
A社長のような大企業へ就職、脱サラして起業、成長段階で売却という形は、日本経済活性化のための一つのロールモデルだ。
A社長は、大手外資系メーカーを退職後、自営の個人コンサルタントを経て、50代で起業された。会社の立ち上げ段階では、大手メーカー時代に培った業界知識と人脈を大いに活用された。また、得意分野への資源の集中、高付加価値商材の提供、少人数で機動力のある組織設計、低コスト・高収益体質、完全無借金の健全な財務など、熟年起業家らしく地に足がついた堅実な経営をしてこられた。まさに、熟年起業のお手本のようなケースだ。
最近、若者の大企業志向を嘆き、若者の起業を煽るような論調の新聞記事やニュースが目に付く。
起業が経済活性化に必須の要素であることに異論はない。
しかし、起業には、失敗のリスクがある。もう少し正確に言うと、ほとんどの起業は失敗する。
そんなリスクのある起業を無知な若者に強いるような風潮は、年金・財政問題と同根の既得権者から若者への責任の押し付けに他ならない。
日本経済活性のために、本当に推奨すべきは、むしろ熟年者の起業だろう。
A社長のような大企業で経験を積んだ40代~60代のビジネスマンが、その経験・人脈をフル活用すれば、成功確度の相当高い起業が可能となる。
ただ、熟年起業には、若者の起業と比較して、課題が一つある。それは、熟年起業では、会社が立ち上げの段階から成長フェイズに入った時点で、社長が高齢になってしまっているということだ。
高齢の社長が、会社を成長させらないかというと、そんなことは決してない。
しかし、会社を成長させるには、大変なエネルギーが必要となる。また、社員の増加、投資の拡大、資金調達など、経営者責任も重くなる。熟年起業家は、自分のペースで、また、自身がコントロールできる範囲で、身の丈にあった会社経営を好む傾向が強いため、重い経営責任には躊躇する社長が多い。そのため、会社成長のチャンスを、みすみす逃してしまう可能性がある。
しかし、この課題は、今回のケースのように、エムアンドエーという形で解決可能だ。
大企業でビジネス経験を蓄積、脱サラして熟年起業、身の丈に合った規模で成長段階まで経営、その段階で会社を売却して創業者利益を獲得、将来の発展は組織力・資金力のある大企業に任せる。
これが、熟年起業の理想形ではないだろうか。
そして、この理想形の実現には、エムアンドエーをサポートするアドバイザーが果たすべき責務も大きい。
このような社会的意義の高いM&Aを、1件でも多くお手伝いできるよう、一層努力していきたい。
籠谷智輝
10/Apr.2012 [Tue] 21:41