M&Aのリスクとは
月末月初で、2つの案件の調印式が開催されました。
この2つの案件は、業種や規模は全く異なるのですが、ある共通点がありました。
それは、財務状態・業績は非常に良いが、事業上のリスクが強く意識されたため、買い手候補がなかなか出てこなかったということです。
1社は、事業の特性上、顧客が従業員についているため、従業員の離脱が売上減につながるというリスク、もう1社は、売上の大半が1社に集中しているため、この顧客を失うと売上が激減するというリスクを抱えていました。
2社とも、打診開始当初は、多くの買い手候補企業の興味を引きましたが、大半の買い手候補は、リスクを懸念するあまり見送りという判断をしました。
最終的に、この2社は買収したのは、ともにオーナー系の企業でした。
オーナー社長が、リスクを取ったうえで、買収を決断しました。
もちろん、最終契約前に、従業員の中のキーパーソンと面談したり、主要顧客と面談したりすることで、リスクの顕在化を回避する手段を講じた上での決断です。
客観的にみて、両案件とも、適正な売却金額で合意しており、シナジーもかなり見込まれる非常によい取引でした。
すべてのビジネスには、リスクがあります。
M&Aにも、当然リスクがあります。
大事なことは、リスクの有無ではなく、そのリスクが顕在化する可能性がどれぐらいあるのか、回避する方法はないのか、リスクと比べてリターンはどれくらいあるのか、ということではないでしょうか。
籠谷智輝
02/Oct.2012 [Tue] 13:50
買い手ニーズの高まり
M&Aは「売り手がいないと始まらないが、買い手がいないと決まらない」と言われる。
最近、買い手の買収意欲が旺盛になってきている。そういう意味では成約しやすい地合いになってきたと言える。
様々な業種の中でも特に買い手が多いのが、調剤薬局、施設介護(有料老人ホーム・グループホーム)、ビルメンテナンス会社、通販・EC等である。
やはり、安定して利益が出る、市場が拡大している分野は買い手からの要望が多い。
(参考)
業界別M&A情報:調剤薬局のM&A・売却・譲渡
業界別M&A情報:施設介護(有料老人ホーム・グループホーム)のM&A・売却・譲渡
業界別M&A情報:ビルメンテナンス会社のM&A・売却・譲渡
業界別M&A情報:通販会社のM&A・売却・譲渡
弊社でも現在これらの分野のM&A仲介に積極的に取り組んでいるが、条件設定さえ間違えなければ、成功裏に売却できる可能性は極めて高いと言える。
ところで、なぜここにきて買い手が多くなってきたのかは、はっきりとは分からない部分もある。
通常買い手の意欲は景気に連動するが、景気は一進一退であり、必ずしも上向いているわけではないからだ。
考えられるのは、中小企業のM&Aが認知されてきて、潜在ニーズが顕在化されてきたということ、またM&A仲介会社の中でも、弊社のような成功報酬型が好まれだしてきているからであろう。
藤井一郎
12/Sep.2012 [Wed] 16:37
ホームページのリニューアル
今月より全面的にリニューアルしたホームページを公開しています。
弊社のようなM&A仲介会社はあくまで黒子の存在ですので、これまではいっさい実績は公開していなかったのですが、新しいサイトでは、具体的な名称等は出さずに多数の実績を紹介していますので、よろしければご覧ください。
実績以外にも、料金体系をより分かりやすくしたり、弊社の特徴や弊社のお客様の特徴も記載しています。
お客様にも分かりやすいと好評を得ており、実際今月のM&Aの売却・買収のご依頼の数は過去最高レベルに達しています。
引き続きホームページは充実させて行きたいと考えておりますので、改善点をご指摘頂ければ幸甚です。
藤井一郎
27/Jul.2012 [Fri] 19:49
社長の引退年齢について
先日、成約した案件の売り手社長は60歳でした。
心身ともに健康で、仕事も順調。
一般的には、引退を考えるタイミングではないかもしれません。
しかし、社長は、もともとサラリーマンの退職年齢である60歳で、経営から身を引こうと考えていらっしゃったそうです。
弊社にご相談頂く社長の年齢は様々です。
20代半ばの若手社長もいらっしゃれば、80歳目前の大先輩もいらっしゃいました。
歳の取り方や人生感は、個人個人異なります。
したがって、一概に何歳で引退すべきという普遍的な基準など、設定のしようがありません。
ただ、一つ言えるのは、引退の年齢をしっかり決めておいた方が、スムーズに引退できるということです。
社長が引退するには、主に以下の3つのパターンしかないでしょう。
①後継者に任せる
②会社を清算する
③会社を売却する
①の後継者に任せる場合、自分の子息が事業を継承する意欲があれば良いですが、従業員に引き継がせるには、いろいろと難しい問題があります。(従業員への承継のハードルについてはこちらもご参照ください)
また、子供にしろ、従業員にしろ、後継者として任せるためには、10年、20年の時間をかけて、後継者として育成しておく必要があります。
そのような育成は、自分の引退時期を考えて、十分な時間的余裕をもって進めていくべきでしょう。
②の会社の清算は、取引先・従業員のことを考えると、そもそもあまり良い選択とは言えません。
また、③の会社の売却も、決して容易な選択肢ではありません。
今日思いついて、明日会社が売れる訳ではないのです。
そもそも、買い手が出てくるような魅力のある会社である必要があります。
また、現在の会社が良い状態であったとしても、決断をずるずると先延ばしにして、業績が悪化してから売却に動き出すようでは、買い手が見つかる可能性は低くなってしまいます。
結局、後継者に任せるしろ、他社に売却するにしろ、スムーズに引退するには、前もって準備をしておく必要があるということです。
今回の売り手の社長様は、自身の引退年齢を明確に意識して、会社経営をしてこられました。
当初は、従業員への承継を意識して動いてこられたようですが、残念ながら、経営を任せるに足る社員を育てることができず、弊社の支援のもと、会社を譲渡することを決断されました。
誠実な社長の人柄を反映するように、会社の財務内容は、おかしな投資や無駄な経費のない筋肉質なものでした。
その背景には、いつか従業員(もしくは他社)に継承するという意識があったのだと思います。
これまでの会社の歴史を語られる社長の言葉の節々に、誰に見せても恥ずかしくないような会社経営をしてきたとの自負が感じられました。
全ての経営者に、引退の時期はかならず訪れます。
それが、5年先でも、10年先でも、良いと思います。
自分がいつ引退したいのか、一度、真剣に考えてみてはいかがでしょうか?
籠谷智輝
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28/Jun.2012 [Thu] 15:48
エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの資質
エムアンドエー(MアンドA)がクローズアップされてきたせいだろうか、M&Aプロフェッショナル資格やM&Aアドバイザー資格といったM&Aに関する民間資格が出始めている。
現状、エムアンドエー(MアンドA)のアドバイザリー・仲介業務を行うためには、特別な資格は必要ない。
一般的なエムアンドエー(MアンドA)アドバイザーとして要求される資質としては、法律知識・業界知識・ネットワーク・実務経験などだろう。
ただ、日々中小企業のM&A案件に関与する中で、私は、中小企業のM&Aアドバイザーには、大企業のM&Aアドバイザーとは異なる、ある資質が必要だと感じるようになった。
それは、共感力である。
私は、監査法人時代、売上1兆円規模の会社の財務諸表を見てきたが、私にとって、それらはあくまで帳簿上の数字で、記号にしか過ぎなかった。恥ずかしい話だが、数字の背後にある生身の人間の血の通った活動をイメージし、感じ取る能力を欠いていた。
しかし、家業、そして現在のビジネスを行っていく中で、決算書の数字は、経営者・従業員の情熱が込められた、血の通ったものである、と理解し始めた。
たとえ、数千万円の売上であっても、その裏側には、会社を育て上げた経営者様の苦しみ・喜びが存在する。
私は、経営者様と面談させて頂き、決算資料を拝見する瞬間、その数字の重さに震える程の感動と、その会社の譲渡をお手伝いすることへの痺れるほどの喜び、そして責任を感じるようになった。
会社売却は、オーナー経営者様にとって、そして会社そのものにとって、最大とも言えるイベントである。
その一大イベントをお手伝いするエムアンドエー(MアンドA)アドバイザーこそ、経営者様の会社・事業に対する思いの最良の理解者・共感者であるべきだと思う。
経営者様の事業に対する情熱・事業に込めた魂を、共有・共感できる能力こそ、中小企業のエムアンドエー(MアンドA)アドバイザーに、最も求められる資質ではないだろうか。
関連記事>エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの見分け方
18/Apr.2012 [Wed] 14:33