M&Aの現場(BLOG)

M&A仲介会社の手数料(着手金)の問題点

先日ミーティングをした会社の社長から、「御社は着手金を取りますか?」という質問を受けました。
この質問を聞いて、「ああ、時代は変わったなあ」と少し感動してしまいました。

1.着手金をとらない会社が増えてきた
弊社が創業した2007年当時は、M&A仲介会社は着手金を取るのが当たり前で、完全成功報酬制は弊社を含めた一部の企業でしか採用されていませんでした。
顧客である中小企業の経営者も、着手金を払うのが当然だと考えており、冒頭の社長のように着手金の有無を確認してくる方は皆無でした。
それから6年が経過し、完全成功報酬制のM&A仲介会社も徐々に増えてきており、「M&A仲介会社には、着手金を取るところと取らないところがある」という認識は、着実に広がってきているようです。

とはいえ、現状でも着手金を取るM&A仲介会社が、圧倒的多数を占めています。

2.着手金の何が問題か?
そもそも、着手金の問題点とは何でしょうか?
着手金の相場は、50万円~200万円程度で、成功報酬と比較すると、着手金の金額そのものにそれほどの重要性はありません。
着手金が問題は、結果とは無関係に依頼主に経済的負担が発生するというその性質にあります。
実際、他のM&A仲介会社に依頼していた経営者様が弊社にご相談頂いた際によく吐露されるのが、「着手金を払ったにもかかわらず、良い買い手を紹介してくれなかった」という不満です。

しかし、結果が出なかったことだけをもって、「仲介会社は仕事をしなかった」、「着手金泥棒だ」と批判するのは、少々乱暴です。
中小企業のM&Aの世界では、結果を完全に保証はできません。
依頼を受けた時点でどれだけ成功するという確信があったとしても、様々な要因で、良い相手先に出会えないことはありえるのです。
M&A仲介会社で成約率が100%というのはあり得ず、もし、そのように標榜している会社あるとすれば、それは間違いなく虚偽です。

したがって、M&A仲介会社側が、成約しないリスクを事前に顧客に説明・納得させた上で、売却見込についてプロとして十分な確信をもって依頼を引き受け、適切なM&Aの手続きを踏んだにもかかわらず結果が出なかったのであれば、それは顧客が納得して引き受けたリスクであり、着手金分のコスト負担はいたしかたないように思います。
M&A仲介では、事前準備に相当の時間とコストがかかるため、そのコストに応じた手数料を得るというのは、著しく不合理な請求とは言えないでしょう。
(なお、準備にコストがかかるというのは、弊社をはじめとした完全成功報酬制の会社も同様で、弊社ではM&Aの成約率を高めることで、これらのコストを吸収しています)

3.では着手金の真の問題点とは?
実は、着手金の真の問題点は、M&A仲介会社やエムアンドエー(MアンドA)アドバイザー個人にモラルハザードを引き起こす素地があるということなのです。
具体的には、M&Aの実現性が極めて低いようなご相談内容にもかかわらず、成功率が高いかのような説明をし、着手金欲しさに依頼を受けるケースです。
例えば、売上規模が小さすぎる、赤字続き、借金過多、債務超過、売却希望金額が高すぎる等、本来M&Aという手法がなじまない状況にある会社にまで、会社売却可能性が高いと説明し、着手金を取ることが問題なのです。
実際に、他社サービスを利用していたが結果がでないということで弊社にご相談頂いた会社でも、弊社では結果が出せない(成功可能性が極めて低い)と判断し、お断りをせざるを得ないケースがかなりあります。そのような相談を着手金を取って受託した会社があるという事実に、着手金の問題点の本質が集約されている気がします。
このように成功見込がないのに依頼を受けてしまったケースでは、売り手は、買い手候補とのトップ面談さえできず、時間だけを空費してしまうことになります。
サービス提供されているという実感がないので、文句の一つでも言いたくなるのも当然です。
一部では、着手金の返還訴訟を提起されるケースなど、問題がこじれる場合もあるようです。

4.M&A仲介業界の報酬体系の今後
着手金を取っている会社でも、誠実に対応している会社は多くあり、報酬体系に着手金が組み込まれているからといって、悪徳業者だとは限りません。
しかし、悪徳かそうでないかは、依頼者側から判断することは非常に困難です。
また、会社としてはまっとうでも、各アドバイザーが個人のノルマを達成するために、とにかく着手金を獲得しようと、不誠実なセールストークをしてしまう可能性は否定できません。

このような着手金の本質的な問題を考慮すると、明快で、モラルハザードのリスクもない、着手金なしの完全成功報酬制という料金体系が、将来的にはM&A仲介業界におけるスタンダードな料金体系になるのではないでしょうか。

18/Jun.2013 [Tue] 11:13

会社売却・企業売却の完全成功マニュアル

弊社インテグループは、中小企業の会社売却・企業売却を完全成功報酬制で支援するM&A専門会社です。

弊社では、ホームページでの情報提供に力を入れており、経営者様に役立つ情報を随時更新しています。その結果、「他社に比べホームページが非常に見やすい」、「情報量が豊富」、「会社売却の決断に役立った」等の高いご評価を頂いております。

一方、弊社ホームページの内容が充実するにつれて、情報量が増大し、ホームページ内において必要情報を探すのに時間がかかる等の問題点も指摘されるようになりました。

そこで、「会社売却・企業売却」に興味がある経営者様にターゲットを絞って、そのような経営者様が知りたい情報を、「会社売却・企業売却の完全成功マニュアル」として1ページに集約しました。

当ページを一読いただけば、「会社売却・企業売却」についての全てを理解いただけます。
さらに、項目別に詳細の情報を知りたい方には、詳細内容を記載したページへのリンクも付けておりますので、そちらをご参照ください。

 1.会社売却・企業売却とは

「会社売却・企業売却」とは、会社の一部の事業だけを譲渡する「事業譲渡」とは異なり、会社・企業を法人格ごと譲り渡すことです。

2.会社売却・企業売却の方法

中小企業の売却方法としては、ほとんどのケースで「株式譲渡」が利用されます。

株式譲渡は、数あるM&Aの手法の中で、手続きが最も簡易であり、かつ、売却による利益への税率が一律20%と大変有利になっています。

また、株式譲渡では、会社の所有者である株主のみが変わり、会社の役員、従業員の雇用・処遇、取引先や顧客との契約関係等は原則維持されるため、会社売却の影響を最小限に抑えられます。

その他、会社売却・企業売却の手法としては、「合併」「株式交換」「会社分割」等がありますが、いずれも中小企業の売却で利用されることはほとんどありません。
各手法の詳細についてご興味ある方は、こちらの「M&Aの手法」をご参照ください。

3.会社・企業の売却価額と評価方法

中小企業の売却見込額の算定方法としては、「年買法」が最も一般的です。
年買法とは、企業の売却価額を、「時価純資産額+営業権」という算式で計算する方法です。
年買法における営業権は、企業の実質利益の2年~5年分として算定されます。

営業権として何年分の利益をみるかは、企業規模、財務状態、成長性、買収ニーズの強弱等により変わるため、具体的な売却見込額を知りたい方は、中小企業のM&Aに実績のあるアドバイザーに相談した方が良いでしょう。
インテグループでは、売却見込額の無料評価サービスを提供しておりますので、ご興味のある方は、こちらからお申し込みください。

その他、売却見込価額の評価方法は、DCF法、配当還元法、類似会社比準法等がありますが、いずれも中小企業の企業価値評価ではあまり利用されません。
各評価手法の詳細についてご興味ある方は、こちらの「売却金額の評価方法」をご参照ください。

4.会社・企業を売却する場合の税金について

株式譲渡により譲渡益が発生した場合、譲渡益に20%の所得税がかかります。
譲渡益を計算する場合には、売却した株式の取得価額(出資額・相続額等)及び売却に要した費用(アドバイザーへの手数料等)は、売却価額から差し引くことができます。
なお、税率は、売却益の多寡を問わず、一律20%となります。

5.会社・企業の売却可能性について

会社売却を決断した経営者様にとって、一番の関心事は、「自社が売却できるのだろうか?」ということだと思います。
たしかに、売却可能な中小企業は全体の数%と言われており、非常に狭き門です。
しかし、自分の会社なんか売れないと自己診断してしまうのは禁物です。
実際、「うちの会社なんか売れないですよね?」と経営者様が自社を過小評価されている場合でも、売却可能性が十分見込まれるケースが少なくありません。

会社の売却可能性の判断は、業界、企業規模、業績、財務状態、成長性、買収ニーズの強弱等様々な要素を考慮する必要があり、実績とノウハウのある専門家でなければ困難です。

インテグループでは、売却可能性の無料診断サービスを提供していますので、ご興味のある方は、こちらからお申し込みください。

6.売却しやすい会社・企業とは

売却しやすい会社・企業には、以下のような特徴があります。

・ 一定の売上規模
・ 黒字傾向
・ 無借金又は適度な借入金残高
・ 取引先が分散されている
・ 社長への依存度が低い

「売却しやすい会社」について、より詳細な内容をコラムにまとめていますので、ご興味ある方はこちらの「売却しやすい会社とは」をご参照ください。

7.会社売却・企業売却の手数料

会社売却の手数料としては、アドバイザー報酬、税理士・弁護士への報酬、株券発行費用等があります。
税理士・弁護士への報酬は、アドバイザー以外にセカンドオピニオンを求める場合に稀に発生しますが、顧問契約の範囲内で無償で行われることが多く、高額になることはありません。
また、株券発行費用は、印刷した株券が存在する会社や株券不発行会社では必要ありませんし、新たに発行する場合でも数万円程度です。

手数料の中で金額が大きくなるのが、M&Aアドバイザーに対する報酬です。
アドバイザーへの報酬は、①着手金、②月次報酬(リテナーフィー)、③中間金、④成功報酬の4種類に大別されます。

① 着手金
着手金とは、業務を依頼した場合に発生する手数料で、相場的には50万円~200万円です。

② 月次報酬(リテナーフィー)
月次報酬(リテナーフィー)とは、毎月一定額発生する手数料です。

③ 中間金
中間金とは、基本合意の締結等一定の段階までプロセスが進んだ場合に発生する手数料で、成功報酬の10%~30%が相場です。

④ 成功報酬
成功報酬とは、会社売却が成立した場合に発生する手数料で、レーマン方式という料率表に基づいて算定されます。中小企業の売却では、通常、売却価額×5%で計算されます。(料率表の詳細はこちら

着手金、月次報酬、中間金の問題点は、会社の売却が成立しない場合でも費用が発生することです。依頼主は、望んだ売却ができないという精神的な負担に加え、金銭的にも大きな負担を強いられることになります。

インテグループでは、業界に先駆けて完全成功報酬制を採用しており、着手金、月次報酬、中間金を一切いただいていません。これにより、無用なリスクがなく、納得・安心して利用できると依頼者様から高いご評価をいただいています。

なお、報酬体系については、アドバイザリー会社によってさらに細かい差異が存在しますので、詳しく知りたい方は、こちらの「M&A仲介会社の手数料比較」をご参照ください。
また、弊社が完全成功報酬制を採用している理由について、詳しく知りたい方はこちらの「完全成功報酬制を採用している理由」をご参照ください。

8.会社売却・企業売却のメリット

会社売却・企業売却には以下のようなメリットがあります。

・ 創業者利益を得ることができる
・ 経営者としての責任・ストレス・プレッシャーから解放される
・ 個人資産を借入金の担保から外すことができる
・ 会社債務の連帯保証から外れることができる
・ 大手企業のグループとなり会社経営の安定性が増す
・ 従業員の雇用を維持できる
・ 取引先に迷惑をかけない

会社売却・企業売却のメリットについての詳細は、こちらの「会社売却・企業売却のメリット」をご参照ください。

9.会社売却・企業売却の流れ

会社売却・企業売却の流れは以下のとおりです。

① 無料相談
② 秘密保持契約の締結
③ 決算書の提出
④ 売却可能性・売却見込価額の算定
⑤ アドバイザリー契約の締結
⑥ 打診用資料の準備
⑦ 買い手候補の選定
⑧ 買い手候補への打診開始
⑨ 質疑応答・追加資料の準備
⑩ トップ面談
⑪ 意向表明(条件提示)
⑫ 基本合意契約の締結
⑬ デューデリジェンス(買収監査)
⑭ 最終契約書の締結・譲渡の実行

詳細はこちらの「会社売却・企業売却の流れ」をご参照ください。

10.会社売却・企業売却のスケジュール

会社売却・企業売却は、通常、ご依頼頂いてから3か月~6か月程度の時間がかかります。インテグループの過去の実績では、最短で3週間、最長で2年です。

また、売却が成立しても、すぐに全ての職務から解放される訳ではなく、一定の引き継ぎが要求されます。特に、社長の役割・影響が大きい企業では、従来の代表取締役としての職責を一定期間継続することが条件となるケースもあります。
引継期間としては、通常は1か月~6か月ですが、長い場合には2年という事例もあります。引継期間は、売り手社長の事情(年齢・健康状態・希望)も考慮して、買い手との話し合いの結果決定されます。

11.会社売却・企業売却の成功のポイント

会社売却・企業売却の成功のポイントは以下のとおりです。

■ 売却時期を先延ばししない
売却時期として適切なのは業績が好調の時です。しかし、業績好調時には、会社売却の決断は先に延ばしがちで、その後、環境が変化して売却条件が下がってしまうケースが良くあります。

また、資金繰りが行き詰ってどうしようもなくなってから相談に来るケースも少なくありません。資金繰りに詰まっている状況での会社売却は、非常に困難です。

会社売却のベストタイミングは、経営者の経営意欲が低下した時です。
業績や景気動向に惑わされず、仕事・会社に対するご自身の意欲・情熱の低下に気づいたら、会社売却を真剣に考えてみましょう。

会社の売却時期について社長の意欲と業績という視点で考察したコラムがありますので、ご興味ある方はこちらの「いつが会社の売り時か」をご覧ください。

■ 売却金額を欲張らない
経営者として、自社にできるだけ良い価格をつけてもらいたいのは当然です。一方、買い手としては、一定期間での投資回収が見込まれる適切な価格での買収を希望します。

不当な価格で安売りする必要はありませんが、利益と純資産額に基づいた売買金額の相場がありますので、その相場を大きく逸脱した金額を希望すると、売却のチャンスを逃す可能性が高くなります。

■ 買い手候補を絞り過ぎない
買い手候補に、「上場企業限定」、「同業他社はNG」といった形で条件を付け過ぎると、売却が成立する可能性は低くなります。未上場の会社でも立派な会社は多いですし、同業他社の方が買収後のシナジーが出やすいケースもあります。

どうしても譲れないという条件以外は、柔軟に考えておくべきです。

■ 適切なアドバイザーに依頼する
会社売却の成否を握るのはM&Aの専門家たるアドバイザーです。実績豊富な信頼できるアドバイザーに依頼することが、会社売却成功の最大のポイントです。

M&A仲介会社の選び方にご興味がある方は、こちらの「M&A仲介会社の選び方」をご参照ください。
会社売却の成功ポイントの詳細は、こちらの「会社売却・企業売却成功のポイント」をご参照ください。

12.会社売却・企業売却を誰に相談すべきか

会社売却を悩んでいる経営者の相談先としては、顧問税理士、銀行、M&A仲介会社等があります。

税理士や銀行はM&Aの専門家でなく、ノウハウや買い手情報を持っていません。したがって、彼らに相談しても、最終的に提携先のM&A仲介会社を紹介されるだけです。
また、会社売却により顧問税理士やメインバンクが変更されるケースは多く、税理士や銀行にとっては、取引先を失うリスクのある会社売却について(本来推奨すべき状況であったとしても)否定的なアドバイスをする場合があります。

したがって、会社売却・企業売却を検討している場合には、実績豊富なM&A仲介会社に相談するべきです。

13.会社売却・企業売却のアドバイザーとは

会社売却のアドバイザーには様々なタイプの会社があり、案件の規模及び報酬体系で分類できます。

案件の規模では、大企業を主な対象としている銀行・証券会社と、中小企業を専門にしているM&A仲介会社に大別されます。売上が数十億以下の会社であれば、M&A仲介会社に依頼するべきです。

報酬体系では、着手金をとる会社と、完全成功報酬の会社に大別できます。
基本的には、完全成功報酬制のM&A仲介会社に依頼すべきです。
着手金を取る会社の場合、着手金欲しさに売却可能性が低い案件を引き受けたり、過大な売却見込価額を提示したりしているのではないかという疑念がどうしても付き纏います。また、最終的に会社売却が成立しなかった場合でも着手金は返金されず、依頼主にとって負担となります。

その他エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの選択基準について、こちらの「エムアンドエー(MアンドA)アドバイザの見分け方」をご覧ください。

14.会社売却・企業売却の準備

会社売却・企業売却のために準備すべき事項は以下のとおりです。

■ ホームページや書籍等によるM&Aの基礎的な情報の収集
書籍やM&A仲介会社のホームページ等で、会社売却のメリット、流れ、注意点等の基礎的な情報を収集しておきましょう。

■ M&A仲介会社についての情報収集
M&A仲介会社のホームページで各社の情報を収集しましょう。
注視すべきポイントは、報酬体系(特に着手金の有無)、得意分野、成約実績、経営陣やアドバイザーの経験等です。
まともな仲介会社であれば、これらの情報は全てホームページ上で公開してあるはずです。報酬体系や過去の成約実績が明示されていないページや、経営陣の顔が見えないようなページの会社は避けた方が賢明です。

■ 必要資料の準備
会社売却に動きだすと、様々な資料が必要になってきます。下記18に一般的な必要資料のリストを記載していますので、ご参照ください。改めて作成が必要な資料がある場合は、事前に準備しておくと良いでしょう。

15.会社売却・企業売却の理由

経営者様が企業を売却する理由は、主に以下の5つに分類されます。

①  創業者利益の獲得(アーリーリタイア、別事業の資金獲得)
②  後継者不在(事業承継、高齢、病気)
③  会社の成長・発展(大手傘下での安定経営を志向)
④  事業再編(選択と集中、ノンコアの子会社の売却)
⑤  先行き不安(業績不振、事業再生)

インテグループでは、売却理由別に成約実績を公開しています。会社売却に成功された経営者様がどのような理由で売却を決断されたかについて、こちらの「会社売却の成約実績」をご参照ください。

16.従業員への会社売却・企業売却

他社への売却の前に、従業員への会社売却を検討する経営者様は少なくありません。しかし、従業員への売却には以下のようなハードルがあり、容易ではありません。

・ 従業員に経営能力がない
・ 従業員に経営意欲がない
・ 従業員に会社借入金の連帯保証・担保を引き継ぐ資力がない
・ 会社を買い取る資金力がない

逆に、意欲・能力ともに後継者足り得る従業員が存在し、無借金の会社であれば、従業員に会社を承継できる可能性があるといえます。

従業員への会社売却についてさらに知りたい方は、こちらの「従業員への事業承継」をご参照ください。

17.会社売却・企業売却における契約書

会社売却に関連して必要となる契約は以下のとおりです。

■ 秘密保持契約書
秘密漏洩を防止するため、情報開示の前に、M&A仲介会社及び買い手候補と締結します。
秘密保持の範囲や秘密保持期間等が規定されます。

■ アドバイザリー契約
アドバイザリー業務を依頼する際に、M&A仲介会社と締結します。
着手金、成功報酬、専任依頼等が規定されます。

■ 基本合意書
大まかな売却条件に合意した場合に、買い手候補と締結します。
売却金額、時期、独占交渉権等が規定されます。

■ 株式譲渡契約書
最終合意した場合に、買い手候補と締結します。
売却金額、売却日、表明保証等が規定されます。

18.会社売却・企業売却の際に準備すべき資料

会社売却・企業売却のために、最低限必要となる資料は以下のとおりです。

・ 直近の月次残高試算表
・ 法人税申告書・決算書・勘定科目明細(過去3期分)
・ 顧客別売上高一覧(過去3期分)
・ 事業の種類別売上高一覧(過去3期分)
・ 組織図
・ 従業員一覧
・ 役員略歴
・ 登記簿謄本
・ 定款

18/Jun.2013 [Tue] 10:40

エムアンドエー(MアンドA)の完全成功マニュアル

弊社インテグループは、完全成功報酬制で中小企業のエムアンドエー(MアンドA)を支援する、公認会計士、弁護士等により設立されたM&A仲介会社です。

弊社のホームページでは、エムアンドエー(MアンドA)を検討中の社長様に様々な情報を提供しています。その結果、利用者様から高いご評価を頂き、「他社に比べ丁寧に説明されている」、「内容が分かりやすい」、「質の高い情報が網羅されている」等のご感想をいただいております。

一方、ホームページの情報量が増大するに伴い、必要な情報がホームページ内で分散してしまい、情報を探すのに手間がかかるようになっているのも事実です。

そこで、エムアンドエー(MアンドA)に興味がある社長様が必要とする情報だけを1ページに集約しました。

1.中小企業にとってのエムアンドエー(MアンドA)

「エムアンドエー(MアンドA)」とは、会社の合併・買収を意味します。
M&Aと聞くと大企業や上場企業だけの話と思われがちですが、昨今では、事業拡大戦略の一環として、また、事業承継問題の解決策として、中小企業のエムアンドエー(MアンドA)に大きな注目が集まっています。

皆さまの周りでも、「会社を売却して引退した」、「同業者を買収して急成長している」といったお話しを、一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?
中小企業の社長様にとって、M&Aは今後ますます身近なものになってくることは間違いありません。

M&Aについては、知っている社長と知らない社長で、会社経営の結果に大きな差が出ます。
例えば、後継者がいなくて困っている社長様が、会社を売却できることを知らずに会社を清算してしまえば、創業者利益を得る機会を逃してしまうばかりでなく、本来維持されたはずの従業員の雇用機会や取引先との関係を潰してしまうことになります。
また、例えば、事業拡大を考えている社長様にとっては、新規顧客獲得のために営業マンの給与や広告費をつぎ込むよりも、同業他社を買収してその顧客基盤を取り込む方が、投資効果が高い場合もあります。

M&Aは、大企業だけのものではなく、むしろ中小企業にとって、非常に重要な経営上の選択肢であることを、中小企業の社長としてはしっかりと認識する必要があるでしょう。

2.エムアンドエー(MアンドA)の方法

中小企業のエムアンドエー(MアンドA)では、ほとんどのケースで、「株式譲渡」が利用されます。株式譲渡とは、会社の株式を売買する手法です。
株式譲渡は、数あるM&Aの手法の中で、手続きが最も簡易で、会社の所有者である株主のみが変わり、会社の役員、従業員の雇用・処遇、取引先や顧客との契約関係等は、原則として維持されるため、M&Aの影響を最小限に抑えられます。
また、売却による利益への税率が一律20%と大変有利になっています。

株式譲渡の次によく利用される手法が「事業譲渡」です。事業譲渡とは、会社全体ではなく、会社の一部の事業を譲渡する手法です。
複数の事業を行っている会社が、事業の選択と集中のために利用するケースが多いです。

その他、エムアンドエー(MアンドA)の手法としては、「株式交換」「合併」「会社分割」等がありますが、中小企業の実務ではあまり利用されません。
各手法の詳細についてさらに知りたい方は、「M&Aの手法」をご覧ください。

3.エムアンドエー(MアンドA)における売却価額と評価方法

中小企業のエムアンドエー(MアンドA)における売却価額の評価方法としては、「年買法」が最も多く利用されます。
年買法では、「売却価額=時価純資産額+営業権」という算式で、売却金額を算定します。この場合の営業権は、実質利益の2年分~5年分として算定されます。営業権の算定の基礎となる年数については、競争が激しく業績が不安定な業種・会社(例えば、飲食店等)では短めの年数が適用され、業績が安定しており買い手の買収ニーズが強い業種・会社(例えば、調剤薬局等)では長めの年数が適用される傾向にあります。

営業権の金額の算定については、企業規模、財務状態、成長性、買収ニーズの強弱等を考慮する必要があるため、具体的な売却見込額を知りたい方は、経験豊富なアドバイザーに依頼した方が良いでしょう。

インテグループでは、売却見込額を無料で評価いたします。ご興味ある方は、こちらの「無料企業価値算定サービス」からお申し込みください。

売却金額の評価方法としては、その他にも、ディスカウントキャッシュフロー法、配当還元法、リアルオプション法、類似取引比準法、類似会社比準法等がありますが、中小企業の評価で利用されることはほとんどありません。
各評価手法の詳細については、こちらの「M&Aにおける企業価値の評価方法」をご参照ください。

4.エムアンドエー(MアンドA)の税金

株式譲渡で会社を売却した場合には、株式譲渡益(=売却価額-取得価額-手数料等)に所得税が20%かかります。なお、所得税の税率は一律20%です。

事業譲渡で会社を売却した場合には、事業譲渡益について法人税(30%~40%)がかかります。

5.エムアンドエー(MアンドA)における売却可能性について

中小企業のエムアンドエー(MアンドA)では、実際に売却できる会社は全体の数%といわれており、売却したくてもできない会社の方が多いのが実情です。
しかし、中小企業の経営者は自社を過小評価しがちのため、会社が売却できるかどうかを自己判断し諦めてしまうのは禁物です。実際にご相談頂く中で「売却は無理だと思うのですが・・」とおっしゃる場合でも、十分に売却が見込まれるケースが少なくありません。

売却できるかどうかの判定は、業種、売上規模、経営成績、財務状態、成長性、買収ニーズの強さ等を考慮する必要があり、経験豊富なM&Aの専門家でなければ不可能です。
インテグループでは、売却可能性を無料で診断いたします。ご興味ある方は、こちらの「M&A無料相談」からお申し込みください。

6.売却しやすい会社・企業とは

中小企業のエムアンドエー(MアンドA)において、売却しやすい会社は以下のような特徴を備えた会社です。

・ 相応の売上規模
・ 利益傾向
・ 無借金又は適切な借入水準
・ 分散された取引先
・ 低い社長への依存度

売却しやすい会社の特徴についての詳細は、こちらの「M&Aコラム:売却しやすい会社とは」をご参照ください。

7.エムアンドエー(MアンドA)の手数料

エムアンドエー(MアンドA)の手数料としては、M&Aアドバイザーの手数料、税理士・弁護士の手数料、株券発行費用等があります。

税理士・弁護士の手数料は、M&Aアドバイザーからのアドバイス以外にセカンドオピニオンを求める場合に発生しますが、利用しないケースも多く、発生するケースは稀です。
また、株券発行費用は、株券不発行会社や既に発行済の会社では不要ですし、新たに発行する場合でも数万円で収まります。

手数料の中で金額が大きくなるのが、M&Aアドバイザーの手数料です。
アドバイザーの手数料は、①着手金、②リテナーフィー(月次報酬)、③中間金、④成功報酬に分類されます。

①    着手金
着手金とは、アドバイザーに業務の着手を依頼した時点で発生する手数料です。着手金の、相場は50万円~200万円です。

②    リテナーフィー(月次報酬)
リテナーフィー(月次報酬)とは、毎月一定額発生する手数料で、一種のコンサルティング費用です。金額は会社や案件規模によって様々です。

③    中間金
中間金とは、手続きが一定の段階まで進んだ場合に発生する手数料で、基本合意の締結時点で発生が確定するケースが多いです。中間金の相場は、成功報酬の10%~30%です。

④    成功報酬
成功報酬とは、M&A成立時に発生する手数料で、レーマン方式という料率表により計算されます。具体的には売却価額×5%(金額によって3~5%で変動)で算定されます。(参考:M&A手数料体系

■着手金、月次報酬、中間金の問題点
着手金、月次報酬、中間金には、エムアンドエー(MアンドA)が成立しなくても発生し、返金されないという問題点があります。依頼した社長様にとっては、成果が出ていないサービスに対して多額の手数料を支払う形になり、不満が残ります。

M&A仲介会社のサービスの価値は、「社長の望むような買い手に、社長の望む価額で、会社を譲渡できたこと」、一言でいうならば「M&Aの成立という結果」で決まります。
どれだけ立派なオフィスを構えていても、どれだけ分厚い提案資料を作成しても、どれだけ多くの担当者が会議に同席しても、M&A成立という成果が出せなければ、サービスとしての価値はゼロです。
そのような価値の無いサービスしか提供していない会社が、着手金等の対価を得る権利があるのでしょうか?

さらに、着手金等には、M&Aの担当者が着手金欲しさに「成立が難しいと分かっている案件を引き受ける」「達成が困難な売却見込価額を提示して契約に持ち込む」という利益相反のリスクが常に付き纏います。
実際、弊社が相談を受ける中で、売却可能性がないためお断りせざるを得ないような案件でも、「他のM&A仲介会社では確実に売却できると言われた」等、同じM&Aアドバイザーとして耳を疑うような話を聞くことがあります。

以上の問題点を鑑み、インテグループでは、着手金、月次報酬、中間金を一切いただかない完全成功報酬制を採用しています。依頼者様にとって、リスクがなく、安心してご利用いただける報酬体系であると自負しております。

なお、M&A仲介会社の報酬体系にはさらにいくつかの差異が存在しますので、詳細はこちらの「M&A料金体系の他社比較」をご覧ください。
また、こちらの「完全成功報酬制を採用している理由」も併せてご覧ください。

8.エムアンドエー(MアンドA)のメリット

エムアンドエー(MアンドA)には以下のようなメリットがあります。

■売り手にとってのメリット
・ 創業者利益の獲得
・ 経営者責任・ストレスからの解放
・ 借入金の担保・連帯保証の解除
・ 会社経営の安定
・ 従業員の雇用維持

売り手にとってのメリットを、経営者、従業員、会社、従業員ごとにまとめていますので、こちらの「会社売却のメリット」をご覧ください。

■買い手にとってのメリット
・ 売上シナジー
・ コスト削減シナジー
・ リスク分散効果
・ 財務力強化

買い手にとってのメリットであるM&Aによるシナジーの詳細については、こちらの「企業買収のメリット」をご覧ください。

9.エムアンドエー(MアンドA)の流れ

エムアンドエー(MアンドA)の流れは以下のとおりです。

■会社売却の流れ
①  無料相談
②  秘密保持契約の締結
③  決算書の提出
④  売却可能性・売却見込価額の算定
⑤  アドバイザリー契約の締結
⑥  打診用資料の準備
⑦  買い手候補の選定
⑧  買い手候補への打診開始
⑨  質疑応答・追加資料の準備
⑩  トップ面談
⑪  意向表明(条件提示)
⑫  基本合意契約の締結
⑬  デューデリジェンス(買収監査)
⑭  最終契約書の締結
⑮  譲渡実行

会社売却の流れの詳細は、こちらの「会社売却の流れ」をご覧ください。

■企業買収の流れ
①   無料相談
②   買収ニーズ(業種、エリア、規模感、予算上限)の登録
③   ノンネームシートの提示
④   秘密保持契約の締結
⑤   詳細資料の提示
⑥   アドバイザリー契約の締結
⑦   質疑応答・追加資料の提示
⑧   トップ面談
⑨   意向表明(条件提示)
⑩   基本合意契約の締結
⑪   デューデリジェンス(買収監査)
⑫   最終契約書の締結
⑬   買収の実行

企業買収の流れの詳細は、こちらの「企業買収の流れ」をご覧ください。

10.エムアンドエー(MアンドA)のスケジュール

■売り手のスケジュール
会社を売却する場合、一般的には3~6か月程度の時間がかかります。弊社の実績では、最も短いケースで3週間、最長のケースで2年です。

また、エムアンドエー(MアンドA)が成立しても、すぐに全ての職務から解放されるわけではありません。一定期間の引き継ぎが必要となります。特に、社長の影響力が強い会社では、社長の立場でしばらくの間残ることが条件となり、引き継ぎ期間が長期化する傾向にあります。
引継期間は通常は1~6か月程度ですが、買い手の要望で2年間取締役として残った事例もあります。社長の年齢や健康状態等により長期の引き継ぎが出来ないケースもありますので、最終的には、売り手と買い手との話し合いで引き継ぎ期間が決まります。

■買い手のスケジュール
以下は、買い手が買収に至る標準的なステップです。
①    社長の決断や取締役会の決定で企業買収の方針を確定
②    企画室等のM&A担当部署にて買収ニーズの詳細(業種、規模感、予算等)を決定
③    買収ニーズをM&A仲介会社に登録
④    M&A仲介会社より買収ニーズに合致したノンネーム情報を受領
⑤    担当部署にて初期検討
⑥    秘密保持契約を締結・詳細資料を受領
⑦    詳細資料の検討・追加資料の依頼・質疑応答
⑧    トップ面談
⑨    取締役会やM&A担当部署にて提示条件の検討
⑩    意向表明書を提出
⑪    基本合意書を締結
⑫    デューデリジェンス
⑬    最終契約書の内容を確定・取締役会による決裁
⑭    最終契約締結・買収の実行

買い手に案件が紹介されてから成約するまで(上記ステップの④~⑭)にかかる時間は、通常3~6か月です。
この時間の大半は、初期検討、社内決裁、デューデリジェンス等の買い手サイドの手続きに要する時間が大半を占めており、買い手がある程度コントロールできます。
したがって、買い手が早期決着を望み検討プロセスを早く進めた場合には成立が早くなり、買い手サイドの社内手続きが煩雑である場合や、慎重に検討してなかなか決断できない場合には成立までに長時間を要することになります。

また、買い手にとって、本当に時間がかかるのは、M&A仲介会社に買収ニーズを登録してから自社のニーズに合致する案件の紹介を受けるまで(上記ステップの③~④)の期間です。

売却案件というのは、売り手が売却の決断をした際に案件化されるため、M&A仲介会社に登録してすぐに紹介してもらえるものではありません。また、登録後しばらく待ってようやく案件の紹介を受けたとしても、その案件が買収ニーズを満たすものではない可能性もあります。ベストマッチの会社にはなかなか出会えないもので、何件もの案件の紹介を受けて検討しいく中で巡り合えるものなのです。

このような実情を勘案すると、買い手は中長期的な計画を立てるべきということになります。
「社内会議で今年度中に1社買収するという方針が決定したので、できるだけ早く案件を紹介してください」というような問い合せを、M&A担当者様から頂くことがあります。しかし、これは中小企業のエムアンドエー(MアンドA)の実情を無視したナンセンスな要求です。
希望する案件がいつ出てくるかは誰にも分かりません。1年先、2年先になる可能性もあります。そのような不確定要素を短期的な計画に落とし込んでしまうと、とにかく買収ありきになり、本来買収すべきでないような会社に手を出すことにもつながりかねません。
M&A担当者は、上記の企業買収のスケジュールの実情をしっかりと理解し、信頼できるM&A仲介会社に登録した上で、中長期的なスタンスで気長に待つようにするべきです。

11.エムアンドエー(MアンドA)の成功のポイント


■売り手にとってのエムアンドエー(MアンドA)成功のポイント

① 適切な売却時期
業績が好調な時ほど、会社売却可能性は高くなり、売却条件も良くなります。しかし、業績好調時に、会社を手放すという決断をするのは容易ではありません。経営者も人間ですから、「業績好調な今、会社を売ってしまうのはもったいない」「あと1,2年続けてから売却しよう」と色気を出してしまいがちです。しかし、ここ数年の日本経済の浮き沈みや世界経済の乱高下を見ても分かるように、現代の経済サイクルは非常に早く、また予測不可能になってきています。
決断を先延ばしした結果、環境が大きく変化し、売却のチャンスを逃したり、売却金額が下がってしまうことが十分起こりうるのです。

では、経営者は、会社の売り時について、何を基準に判断すれば良いのでしょうか?
インテグループは、エムアンドエー(MアンドA)のベストタイミングは、経営者の経営意欲・情熱が低下した時であると考えています。

中小企業の社長は、大変なプレッシャーの中で会社経営を行っています。その社長を支えているのが、「この仕事が好きだ」「従業員を守りたい」「事業で顧客や社会に貢献したい」「会社を大きくしたい」という経営者の意欲や情熱なのです。この支えを失ってしまえば、好きだった仕事は単なるストレス源となり、心身の健康を害し、最終的には会社の業績も悪化してしまうでしょう。
社長の意欲・情熱が中小企業の原動力であり、それが完全に失われてしまう前に、情熱・意欲を持った別の経営者や企業に、会社を承継するべきなのです。

会社・事業に対する自身の意欲・情熱が薄れてきたなと思ったら、業績や景気動向に惑わされず、エムアンドエー(MアンドA)を真剣に検討してみてください。

会社の売却時期について社長の意欲と業績という視点で考察したコラムがありますので、ご興味ある方はこちらの「いつが会社の売り時か」をご覧ください。

② 適切な売却価額
売り手の社長が高い売却金額を希望するのは当然です。これは、単にお金がたくさん欲しいという単純な経済的動機だけではなく、長年手塩にかけて育ててきた我が子のような会社を高く評価してほしいという心情的な側面が強く影響しています。
一方、買い手は投資金額の回収を念頭に、当然ながらできるだけ安い金額で買収することを希望します。
売買金額は、この売り手と買い手の相反する要望をすり合せて、お互いに納得できる範囲で譲り合う結果、決定されるものです。

そして、このすりあわせの際に基準となるのが、売買金額の相場です。中小企業のエムアンドエー(MアンドA)では、相場として、年買法(利益と時価純資産額に基づき売買金額を算定する手法)による金額が一般的に使用されます。
交渉のスタート地点としてこの相場から大きく乖離する金額を希望すると、どんなに良い内容の会社であったとしても、買い手は金額が高すぎると判断するため、検討すらしてもらえません。

したがって、良い買い手に巡り合うためにも、自社の業績や財務状態を正しく反映し、かつ、買い手に興味を持ってもらえる範囲の売却価額の設定が重要となるのです。

売却希望額の設定は、業界、業績、財政状態、成長性、買い手ニーズの強さ等を考慮して慎重に行う必要があるため、実績豊富な専門家に相談するべきです。
インテグループでは、売却見込額の無料評価サービスを提供しています。ご興味ある方は、こちらの「無料企業価値算定サービス」からお申込みください。

③ 柔軟な買い手候補の選定基準
最終的に買収に興味を持ち条件提示をしてくる会社が多いほど、良い条件で売却できる可能性が高くなります。3~4社が条件提示をしてくると、それぞれの買い手を比較検討でき、また金額の引き上げ交渉もしやすくなるため、理想的です。

では、できるだけ多くの会社から条件提示を受けるためにはどうすれば良いのでしょうか?それは、打診する買い手候補を限定しすぎないということに尽きます。

売り手社長からの要望で多いのが、「買い手は上場企業に限定して欲しい」というものです。確かに上場企業は一定の審査を経ていますので買い手として安心感・安定感があります。また、上場企業に認められたということで、売り手社長のプライドが満たされるという側面もあるでしょう。
しかし、上場企業はそれなりの売上規模を要望するため、全ての中小企業が対象となるわけではありません。また、上場企業には法律により厳格な内部統制の整備が要求されており、買収対象となる中小企業にも同様の仕組みの整備を要求してきます。そのため、上場企業とのエムアンドエー(MアンドA)は、中小企業同士のエムアンドエー(MアンドA)よりも、苦労や手間が多くなりがちです。
未上場の会社でも立派な会社は多く存在しますので、特別な事情が無い限り、上場企業限定という条件を付けない方が、成功率は高くなるでしょう。

その他、「同業他社は避けたい」「同じ地域の会社は避けたい」等、買い手候補に希望する条件はいろいろとあるでしょう。しかし、社長が最終的に買い手候補を選定する基準は、ほとんどのケースで「買い手の社長の人間性(トップ面談時の印象)」と「提示された買収金額」の2点です。最初からあまり絞り込んで可能性を潰してしまうよりは、どうしても譲れないという条件以外は柔軟に考え、トップ面談の印象と提示された条件で選択をする方が、よい結果につながります。

④ 適切なM&Aアドバイザー
売却成功のポイントである売却価額の設定や買い手候補の選定は、売り手社長個人で困難であり、エムアンドエー(MアンドA)の専門家たるアドバイザーに依頼する必要があります。
しかし、アドバイザーの中でも、その能力と経験には非常に大きな差があります。また、取り扱う案件の規模や業界によっても、得意不得意があります。
エムアンドエー(MアンドA)の結果はアドバイザーの力量に大きく左右されるため、アドバイザー選びは慎重に行う必要があります。

アドバイザーを選ぶ際には、すくなくとも以下の3点に注意をするべきでしょう。
・ 完全成功報酬制であるかどうか
・ 実績豊富であるかどうか
・ 経営陣の顔・人間性が見えるかどうか

アドバイザー選びについてより詳しく知りたい方は、こちらの「M&A仲介会社の見分け方」をご参照ください。
また、関連記事として、こちらの「エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの見分け方」もご覧ください。

その他、会社売却の成功ポイントの詳細は、こちらの「会社売却成功のポイント」をご覧ください。

 

■買い手にとってのエムアンドエー(MアンドA)成功のポイント

① 買収戦略の明確化
エムアンドエー(MアンドA)を成功させる上で、買収戦略の明確化は非常に重要です。
「他社が買収しているから、うちもやらなくては」「流行っているからなんとなく」「手元資金に余裕ができたので」「とにかく規模拡大したいから」等、このような理由で買収をしてもうまくいくはずがありません。
買収の目的は何か、買収により何が得たいのか、どのような買収先が好ましいのか等を、中長期の経営戦略とすり合せながら、明確化していく必要があります。
そして、この買収戦略に基づいて、買収したい業種、地域、規模、予算上限等を具体的に決めていくのです。

弊社では様々な会社から買収ニーズのご登録を受けています。その中で、買収戦略をしっかりと練ってきている会社は、登録内容が非常に明確で、特に買収したい業種や企業のイメージが詳細且つ具体的です。一方、買収戦略が不明確な会社は、「なんでも良いので、儲かっている会社を紹介して欲しい」というレベルの買収ニーズしか持ち合わせていません。

買収対象会社の条件が具体的であればあるほど、案件を紹介された際の意思決定も早く、適切に行われますし、買収後の統合もスムーズにいくでしょう。また、案件を紹介するM&A仲介会社としても、買収ニーズが具体的なほど案件を紹介しやすくなりますので、そのような買い手には良い案件が集まりやすくなります。

なお、買収戦略策定の根幹となる、買収の目的としては、主に、商品・サービスの拡充、規模のメリットの追求、周辺分野への進出新規事業の獲得、ライバル企業の買収、川上・川下への垂直統合の6つがあります。
弊社ホームページでは、買収目的別の成約事例を公開しています。買収戦略策定のケーススタディとして、こちらの「買収目的別M&A成約実績」をご覧ください。

また、併せてこちら「買収の目的とメリット」もご参照ください。

② 案件情報の収集
買収を成功させるためには、自社の買収ニーズにできる限り合致した会社を買収するに限ります。
しかし、現実には、買収ニーズを完全に満たす案件など存在しません。買収ニーズどおりの理想の買収先と比べると、規模が小さすぎたり、財務に問題があったり、企業文化が違いすぎたり、取引先が偏っていいたり、社員の質が低かったり、営業エリアがバッティングしていたり、内部統制が不十分だったりと、様々な欠点があるはずです。
とはいえ、現実的になりすぎ、過度に妥協して、ニーズとかけ離れた会社を買収するのは失敗のもとです。
中小企業の買収における理想と現実を調整する最も有効な方法は、できるだけ多くの案件情報を収集し、比較検討した上で、よりニーズに近い会社を買収することです。

つまり、案件の収集力が、買い手のエムアンドエー(MアンドA)の成否を分けるポイントなのです。

できるだけ多くの案件を収集するためには、以下のことを心掛けておくと良いでしょう。
・複数の信頼できるM&A仲介会社に買収ニーズを登録する
・登録する買収ニーズは具体的・詳細なものとする
・M&A担当者の教育

(案件が集まりやすいM&A担当者の条件については、こちらの「優秀な企業内M&A担当者の要件」をご覧ください)

③ 適正な買収金額
買収失敗で多いのが、買収金額が高すぎたというケースです。
そして、過大な買収額には2パターンあります。
一つめは、売り手企業の財務・業績に対して買収金額が高すぎるというケースです。人気案件で他社と競合し金額を引き上げざるを得なかった場合、将来の成長性を過大評価した場合、買収後のシナジーの見込みが楽天的過ぎた場合等に、買収額が過大となってしまいます。
二つめは、買収金額が、売り手企業の評価額としては適正だが、買い手自身の財政状態に対して過大というケースです。小が大を呑むようなエムアンドエー(MアンドA)で、買収資金を借入により調達し、その借入額が買い手本体の財務を圧迫してしまう場合です。

買収を成功させるためには、自社にとって適切なサイズの会社を、適切な評価額で譲り受けることが肝要です。

④ シナジーの実現可能性の評価
買収によるシナジー(相乗効果)を適切に評価することも、買収成功のためには重要となってきます。シナジーを過大評価すると、買収金額が過剰に高くなってしまう恐れがあるからです。

シナジーを評価する際に最も大切なことは、想定されるシナジーの実現可能性です。例えば、買収後にクロスセリングを期待するのであれば、どの顧客にどの商品を売るのか、その場合の流通チャネルはどうか等、その実現可能性を具体的にシミレーションしておく必要があります。

⑤ 買収後の運営
シナジーの実現可能性にも関連しますが、買収した後の運営状態によって、買収の成果は大きく変わります。
そして、買収後の運営の良し悪しは、新たに送り込まれる新経営陣のやる気と能力で決まるといっても過言ではありません。
買収先の経営者としては、天下りの発想で親会社の不要人材を押し付けるのではなく、意欲と能力のある抜群に優秀な人材を社長として送り込むべきです。また、送り込む人材には、買収の検討段階から議論に参加させ、当事者意識と責任感を持たせておく必要があります。

企業買収成功のポイントの詳細は、こちらの「買収成功のポイント」をご覧ください。

12.エムアンドエー(MアンドA)を誰に相談すべきか

会社を売却する場合又は買収する場合の相談先としては、顧問税理士、銀行、M&A仲介会社等が頭に浮かぶでしょう。

顧問税理士や銀行は、直接の買い手情報・売却案件情報はあまり持っておらず、彼らに相談しても、提携先のM&A仲介会社から提供された二次的な情報を紹介されるだけです。そして、そのような提携先等に回ってくる二次情報は、グリップが弱く情報の質も低いです。

中小企業のエムアンドエー(MアンドA)では、売り手情報・買い手情報は各M&A仲介会社に専属の情報となっており、不動産情報のように業界内で案件情報を共有するようなデータベースは存在しません。したがって、質の高い一次情報を得ようとすれば、実績のあるM&A仲介会社に直接相談するのが最も効果的かつ効率的な方法なのです。

13.エムアンドエー(MアンドA)のアドバイザーとは

エムアンドエー(MアンドA)のアドバイザーは、大まかに案件の規模及び報酬体系で分類できます。

案件の規模では、大企業を取り扱う銀行・証券会社と、中小企業を対象とするM&A仲介会社に分けられます。売上数十億までの規模感であれば、依頼先としてはM&A仲介会社が適当でしょう。

報酬体系では、着手金やリテナーフィー(月次費用)が必要な会社と、完全成功報酬の会社に大別できます。
基本的には、完全成功報酬制のM&A仲介会社に依頼すべきです。
着手金を取る会社の場合、着手金欲しさに売却可能性が低い案件を引き受けたり、過大な売却見込価額を提示したりする可能性があります。また、M&Aが成立しなかった場合にも、着手金・リテナーフィーは返金されず、成果が得られない上に経済的な損失が発生します。

14.エムアンドエー(MアンドA)の準備

具体的にM&A仲介会社に相談する前でも、事前に以下のような準備はしておいた方がよいでしょう。

①関連書籍やウェブサイトでの情報収集
関連書籍やウェブサイトで、M&Aの流れ、手数料体系、注意点等の基礎情報を集めましょう。全く基礎知識がない状態だと、具体的にM&A仲介会社に相談する際に聞きたいことが分からなかったり、悪質な業者に騙されてしまったりすることがあります。エムアンドエー(MアンドA)についての最低限の知識はつけておくと良いでしょう。

②M&A仲介会社についての情報収集
M&A仲介会社のウェブサイトで各社の報酬体系(特に着手金の有無)、得意分野、成約実績、経営陣の経歴等をチェックしましょう。まっとうな仲介会社ならば、これらの情報は全て公開してあるはずです。報酬体系や成約実績が公開されていない、経営陣の経歴・顔写真が載せられていない場合は、その会社は避けた方が良いでしょう。

15.エムアンドエー(MアンドA)における売却理由・買収目的とは

中小企業の経営者が企業を売却する理由は、以下の5つに分類されます。
① 創業者利益の獲得(アーリーリタイア、別事業の資金獲得)
② 後継者不在(事業承継、高齢、病気)
③ 会社の成長・発展(大手傘下での安定経営を志向)
④ 事業再編(選択と集中、ノンコアの子会社の売却)
⑤ 先行き不安(業績不振、事業再生)

実際に会社を売却した経営者がなぜ売却を決断したかについて、こちらの「売却理由別成約実績」をご覧ください。

企業買収の目的は、主に以下の5つに分類されます。
① 商品・サービスの拡充
② 規模のメリットの追求
③ 周辺分野への進出
④ 新規事業の獲得
⑤ ライバル企業の買収
⑥ 川上・川下への垂直統合

実際に他社を買収した企業の狙いについて、こちらの「買収目的別成約実績」をご覧ください。

16.従業員によるエムアンドエー(MアンドA)

他社への売却ではなく、従業員への会社譲渡を考える経営者は少なくありません。しかし、従業員による会社の承継は、以下のような問題点があり、簡単ではありません。

・ 経営能力がある従業員がいない
・ 経営者になりたい従業員がいない
・ 会社借入金の連帯保証・担保を引き継ぐ財力のある従業員がいない
・ 買収できるだけの資金力がある従業員がいない

このように従業員への事業承継は容易ではないものの、経営者として十分な意欲と能力を備えた従業員がいる会社で、その会社が無借金又はそれに近い状態であれば、従業員によるエムアンドエー(MアンドA)を実現できる可能性があります。

従業員への譲渡についての詳細は、こちらの「従業員への事業承継」をご覧ください。
また、成功事例として、こちらの「引退したオーナーが現経営陣に会社を譲渡したケース」もご覧ください。

17.エムアンドエー(MアンドA)における契約書

エムアンドエー(MアンドA)に関連して必要となる契約は以下のとおりです。

①   秘密保持契約書
情報開示前に、秘密保持の範囲や秘密保持期間等を定めたものを、売り手とM&A仲介会社間、買い手とM&A仲介会社間で締結します。

②   アドバイザリー契約
アドバイザリー業務を依頼する際に、着手金、成功報酬、専任依頼等を定めたものを売り手とM&A仲介会社間、買い手とM&A仲介会社間で締結します。

③   基本合意書
大まかな売却条件に合意した場合に、売却金額、時期、独占交渉権等を定めたものを、売り手と買い手間で締結します。

④   株式譲渡契約書
最終合意した場合に、売却金額、売却日、表明保証等を定めたものを、売り手と買い手間で締結します。

18/Jun.2013 [Tue] 10:25

中小企業のエムアンドエー(MアンドA)マーケットの変遷

本日、面談をしたある買い手企業の社長から、「最近、新手のM&A仲介会社が増えてきましたね。」というコメントを頂きました。
たしかに、最近、聞いたことがないような同業退社のHPを目にしたり、社名を耳にする機会が増えています。
業界でのプレイヤーが増えることで競争は厳しくなりますが、その分業界全体の知名度や多様性が高まるため、業界内の他のプレイヤーにとってもメリットはあると思っています。
一方で、M&A仲介会社の大量出現は過去に何度も起こっており、そのたびにほとんどの会社が淘汰されるというサイクルが繰り返えされているのも事実です。

歴史を振り返れば、1990年以前は、日本のエムアンドエーといえば大企業が中心で、アドバイザーの仕事も大手証券会社や銀行の独壇場でした。
その中でも、山一証券のM&Aアドバイザリー部門は営業力が強く、かなりの案件獲得数を誇っていました。
この山一証券のM&A部門から飛び出したOBが、多くの独立系のM&Aアドバイザリー会社を創業しており、M&Aアドバイザリー業界の裾野拡大に貢献しました。独立系M&Aアドバイザリーファームの最大手で、M&A情報提供サービスも手掛けるレコフも山一OBの創業です。
ただ、証券会社OBによる独立系のファームも、比較的大規模な案件を中心に業務を行っており、いわゆる中小企業のエムアンドエー(MアンドA)はこの時代はまだ一般的ではありませんでした。

その後、1991年に中小企業のM&A仲介をする目的で、現在M&A仲介会社で唯一の上場企業である日本M&Aセンターが設立されました。
この日本M&Aセンターを筆頭に、1990年代に中小企業のM&A仲介を専業とする会社がいくつか生まれ、中小企業のエムアンドエー(MアンドA)マーケットが形成されていきました。
とはいえ、1990年代は、中小企業の経営者にエムアンドエー(MアンドA)が浸透しておらず、またバブル崩壊の影響もあり、中小企業のエムアンドエー(MアンドA)市場は2000年代初頭まで、それほど拡大しませんでした。
現在、M&A仲介会社の最大手として売上高72億円を誇る日本M&Aセンターも、創業から11年が経過した2002年時点の売上高は4億円に過ぎませんでした。
1990年代のM&A仲介マーケットの草創期に設立された会社で、現在も第一線で活躍している会社は、日本M&Aセンターを含む数社に過ぎず、多くが消滅しています。

このように1990年代から2000年代初頭まで、徐々に形成されてきた中小企業のエムアンドエー(MアンドA)マーケットですが、2002年以降は状況が激変します。
2002年から2008年まで続いた戦後最長の景気拡大期間である「いざなみ景気」の影響もあり、国内では空前のM&Aブームが到来したのです。
大型のM&A案件も活発でしたが、中小企業の事業承継の解決策としてM&Aの認知度が高まり、中小企業のM&A件数もうなぎ上りに増加しました。
さらに、2006年には日本M&Aセンターが東証マザーズに上場し、2007年には中小企業のM&A仲介業界は加熱のピークを迎えます。
この爆発的に市場が拡大した2004年~2008年の間に、雨後の竹の子のごとくM&A仲介会社が乱立しました。
完全に独立系の会社に加え、コンサルティング会社や会計事務所が一事業部として新規参入するケースなど、毎週数社は新会社が出てくるような状況でした。

このように急拡大し、活況を呈した中小企業のエムアンドエー(MアンドA)マーケットですが、2008年のサブプライム、2009年のリーマンショックをきっかけに、急速に冷え込みます。
市場の縮小に合せて、中小のM&A仲介会社が次々と廃業していきました。
特に、M&A専業でないコンサルティング会社や会計事務所は事業部を閉鎖するか開店休業状態になっているところが多くありました。

ちなみに、弊社インテグループもこの時期(2007年)の創業です。
同業が乱立し競争は確かに激しかったのですが、当時は珍しかった完全成功報酬制がお客様から評価され、独自のポジションを確立できたことで、無事生き残ることができました。
弊社と同時期に創業した会社で今も活躍している会社を見てみると、「M&A専業」、「独自性」、「信念」という3つの特徴があります。
流行っているからと本業の傍らで副業的に手を出した会社、独自の売りや事業モデルがない会社、M&Aについて何の思い入れもなく儲かりそうという理由だけで参入した会社は、目立った結果を残せずに知らぬ間にいなくなっていました。

その後、リーマンショックの影響が薄れ始めた2011年以降は、中小企業のM&Aマーケットも復調しており、冒頭の社長がおっしゃたとおり、新規参入がまた活発化してきています。
ただ、これまでの何度も繰り返されたように、しっかりとしたビジネスモデルと事業理念がない多くの会社が消え去り、数社のしっかりとしたプレイヤーだけが市場に残ることでしょう。

日本では2012年より団塊の世代が65歳を超え始め、この世代の経営者の事業承継問題は今後ますます深刻化していきます。
M&Aはこの事業承継問題解決の有力な選択肢の一つであり、今後少なくとも5年間は中小企業のエムアンドエー(MアンドA)マーケットは拡大するとみられています。
そして、市場の拡大に伴い、新規参入や新サービスが次々と現れ、過去20数年がそうだったように、次々と退場していくでしょう。

2007年の創業当時はエムアンドエー(MアンドA)マーケットの新参者だった弊社ですが、設立7年目の今は、相応の実績と認知度を有するマーケットの構成員の1社になれたのではないかと思っています。
その自負と責任感を持って、今後も繰り返されるであろう市場の選別に淘汰されないように、しっかりとしたサービスを提供し続けたいと思います。

関連記事>エムアンドエー(MアンドA)アドバイザーの選び方
関連コラム>M&A仲介会社の見分け方
トップページ>中小企業M&A仲介のインテグループ

04/Jun.2013 [Tue] 13:22

中小企業のM&Aにおける買収の成否の評価

以前会社の売却をお手伝いをした社長様から、本日久々にご連絡を頂き、近況を伺うことができました。
社長によると、買い手企業との新製品の共同開発や、海外市場でのジョイントベンチャーの設立等、買収後に様々な成果が出ており、買い手からも買収は成功だったとの評価をもらっているようです。
微力ながらお手伝いをさせていただいたアドバイザーとしては、大変うれしく思います。

本件は、会社は小規模ながらニッチ市場でトップシェアを誇っており、経営手腕に優れた創業社長が買収後も一定期間取締役として残ることが条件となっていましたので、買収後もうまくいくと当初から確信があり、それほどおどろきもありませんでした。
しかし、本日お聞きしたお話は、中小企業のM&Aにおける「買収成功」と「買収失敗」はどのように判断するべきなのかということについて、改めて考える機会になりました。

M&Aの書籍には、「買収の多くは失敗している」というような記述がよくあります。
では、買収の失敗とは、どのような状態を指しているのでしょうか?
実は、「買収失敗」の定義は容易ではありません。
例えば、買収の失敗例として、買収後に、株価が下がった、利益が下がった、のれんの減損損失が発生した、財務が悪化したという指摘がなされることがあります。これは、買収後のネガティブな結果に着目した指摘です。
しかし、買収後にネガティブな結果が出た場合に、それだけをもって失敗だった結論して良いのでしょうか?
例えば、もし買収しなければ、その会社がライバル企業に買収されることで、大きくシェアを失い、買収した場合と比べて、より一層利益が減ってしまうというケースも考えられます。
インフルエンザの予防注射の副作用で体がだるくなった場合に、副作用が出たことのみをもってインフルエンザは失敗だったとは言わないでしょう。
予防注射によって、インフルエンザの罹患という、よりネガティブな結果を回避できている可能性があるからです。つまり、結果がネガティブだから買収は失敗とは必ずしも言えないということです。
実際に、競合会社の買収を阻止・妨害することを目的とした買収提案や買収金額のつり上げは、M&Aの世界ではよく行われています。この観点からいうと、買収の成否を厳密に評価しようとすれば、買収した場合としなかった場合の両方のケースについて結果を比較する必要があり、これはタイムマシンでもない限り不可能です。

 

また、買収時に策定した計画を達成したかどうかで、買収の成否を判断するという考え方もあります。
買収する際には明確な目的とそれに基づいた計画が存在するはずであり、その計画が達成できれば成功、できなければ失敗と判断するわけです。
この考え方は、目的と結果の比較による評価であり、一見合理的に思えます。
しかし、現実には、目的は未達だが一定の成果はあったというケースは少なくなく、このような場合も失敗としてしまうのは、評価が厳しすぎる気がします。
また、買収計画は、どうしても背伸びをしたものになりがちで、そのような達成困難な目標に到達できなかったからといって失敗だと結論するのは少し乱暴です。
また、計画との比較という方法論の最大の問題は、財務状態(貸借対照表)の視点が抜け落ちやすいことです。
つまり、損益計画は達成しているが、買収の際の多額の借入で財務が悪化しているような状態は、本当に成功と言えるのかということです。

 

上記を勘案すると、中小企業のM&Aにおける買収の成否は、買収による投資額を回収できたかどうかで評価するのが、最も現実的かつ効果的だと思います。
買収に投下した金額が数年以内に回収できたのであれば、買収は成功した、少なくとも、失敗していないといえるでしょう。
買い手が中小企業の場合、買収によるリターンの高さよりも、買収により自社が傾かないかという安全面を気にする経営者が多く、回収できたかどうかで買収の成否を判定する考え方は、経営者の実感と合致する部分が多いと思います。
中小企業のM&Aの現場では、企業価値評価方法として、買収金額の回収年数を重視した「年買法」という手法が最も一般的に使用されています。

現状の相場観では、年買法における回収見込年数は2年~3年程度で、これは、多くの経営者が、「買収金額としては2~3年で回収できる額が適正である」、換言すると、「投資額が2~3年で回収できるのであればその買収は成功である」、と考えていることを示しているといえます。

買収成功を投資金額の回収と定義すれば、そもそも2~3年で回収できる金額が相場として浸透している中小企業M&Aの現状を考えると、M&Aの書籍がいうところの「多くの買収が失敗」とは逆に、大半のケースが成功の範疇に入ってくるのではないかと思います。

籠谷智輝

22/May.2013 [Wed] 14:19

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