M&Aのリスクとは
月末月初で、2つの案件の調印式が開催されました。
この2つの案件は、業種や規模は全く異なるのですが、ある共通点がありました。
それは、財務状態・業績は非常に良いが、事業上のリスクが強く意識されたため、買い手候補がなかなか出てこなかったということです。
1社は、事業の特性上、顧客が従業員についているため、従業員の離脱が売上減につながるというリスク、もう1社は、売上の大半が1社に集中しているため、この顧客を失うと売上が激減するというリスクを抱えていました。
2社とも、打診開始当初は、多くの買い手候補企業の興味を引きましたが、大半の買い手候補は、リスクを懸念するあまり見送りという判断をしました。
最終的に、この2社は買収したのは、ともにオーナー系の企業でした。
オーナー社長が、リスクを取ったうえで、買収を決断しました。
もちろん、最終契約前に、従業員の中のキーパーソンと面談したり、主要顧客と面談したりすることで、リスクの顕在化を回避する手段を講じた上での決断です。
客観的にみて、両案件とも、適正な売却金額で合意しており、シナジーもかなり見込まれる非常によい取引でした。
すべてのビジネスには、リスクがあります。
M&Aにも、当然リスクがあります。
大事なことは、リスクの有無ではなく、そのリスクが顕在化する可能性がどれぐらいあるのか、回避する方法はないのか、リスクと比べてリターンはどれくらいあるのか、ということではないでしょうか。
籠谷智輝
02/Oct.2012 [Tue] 13:50