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M&Aの現場(BLOG)

財務分析VS事業分析

今月初旬に成約した案件は、これまでにも何社か買収に興味を持つ会社があった案件だが、なかなか売り手側と買い手側の条件が合わず、最初に売却のご相談を受けてから成約まで1年以上かかった。

今回も厳しい条件交渉となったが、最終的に成約に至った要因としては、売り手側がこれまでとは違い柔軟に条件交渉に応じたということもあるが、それと共に、買い手側としても、当初から何としてもこの事業を買収したいとの強い意欲があり、その上で条件交渉に臨んでいたということも大きかったと思う。

M&Aもこれだけ企業の経営戦略に浸透してくると、各企業のM&A担当者の知識も上がってきているが、それが逆に財務上のテクニカルな分析に走って、本来必要な事業の分析が疎かになっている時があるように思う。

事業会社にとってM&Aは金融投資ではなく事業戦略上の投資になるのだから、財務的な買収条件をうんぬんする前に、先ず対象の事業内容を精査し、その事業を是非とも自社に取り込みたいかどうかを判断し、その上で、財務的な買収条件を設定するというのが本来の姿と思われる。

藤井一郎

27/Apr.2009 [Mon] 20:05

M&Aセミナー

先日、業務提携先の未来予想㈱が主催するM&Aセミナーで講演を行ってきた。
同セミナーでは、2月にも講演させて頂き、今回で2度目である。
弊社で実際に取り扱ったM&A案件について、買い手・売り手が学ぶべきレッスンや、実務での手続きの詳細をお話させて頂いた。

ベンチャー企業の経営者・CFO、VCのコンサルタントの方々にご出席頂き、セミナー後も有益な情報交換をさせて頂いた。

このようなセミナーでお話させて頂いて、常々思うことは、M&Aが、特別なものではない普通の経営戦略の一つとして認識されつつある、ということである。
M&Aは、大企業だけのものではなく、未上場企業の成長戦略、事業承継、Exit戦略に、有効に活用すべきツールである、そのような認識が一般化しつつあるように思う。
セミナーでは、このような経済環境だからこそ、M&Aを有効活用したいと、非常に熱心に質問をされた経営者もいらっしゃった。

M&Aの啓蒙活動は、M&Aアドバイザーの責務の一つであると考えており、このようなセミナーは今後も受けさせて頂こうと考えている。

籠谷智輝

24/Apr.2009 [Fri] 20:02

事業再編と経済の弾力性

最近、上場企業から子会社の売却について相談を受けることが増えてきた。
厳しい経済環境を反映し、非中核部門を切り離し、本業へ資源を集中させる動きが加速してきている。

このような子会社は、業績好調な優良会社であるケースが少なくない。
平時であれば、売却対象となっていないか、または、非常に高額となるであろう案件もある。
したがって、十分なキャッシュを保有し、買収を積極的に検討している会社にとっては、現在の経済危機は、優良会社を買収する千載一遇のチャンスであると言える。

また、売却される子会社にとっても、グループ内での非中核事業として扱われるよりは、その事業を本業と位置づける企業の傘下に入った方が、生産性が高まり、メリットが大きいであろう。

危機下において、事業再編・グループ再編が生じ、その結果、経済全体の生産性が向上する。今、眼前で起こっているこのサイクル・経済現象が、グリーンスパン元FRB議長の言うところの“経済システムの弾力性”の一要素なのかもしれない。

緊急事態には、とかく近視眼的になりがちだ。
しかし、こういう時勢だからこそ、目先の案件の成約のみに目を囚われてはいけないのだろう。
“経済システムの弾力性”を微力ながらも支えているとの矜持を忘れず、社会的意義のあるM&Aのサポートという弊社の長期的ビジョンに向かって、より一層努力をしていきたい。

籠谷智輝

17/Mar.2009 [Tue] 20:00

デューデリジェンスの事前準備

ある会社のデューデリジェンスの事前準備が進捗している。

その準備の一環で、買い手から膨大な資料を依頼され、売り手のオーナー様は少し萎縮してしまった。
依頼資料の量から税務調査をイメージされてしまったようだ。

依頼資料の数こそ多いが、2日で完了する程度のデューデリジェンスであるから、重要な項目・リスクの高い項目を重点的にみるような形になると思われる。
その旨をご説明して、安心して頂いた。

ただ、中小企業では、資料の整理・整備状況が、上場企業と比べて劣っている場合が多く、デューデリジェンスの資料準備には、やはり多大な労力を要する。

デューデリジェンスは、M&Aプロセスにおける重要なプロセスであり、避けて通ることはできない。
ただ、売り手が実態以上に不安や負担を感じてしまう状況は避けるべきだ。
売り手の不安・負担感を軽減し、また、デューデリジェンスが徒労に終わることがないよう、しっかりとサポートすることも、M&Aアドバイザーの責務であると思う。

籠谷智輝

20/Feb.2009 [Fri] 19:58

かんぽの宿

「売却価格が低すぎる」として鳩山総務相が強く反対している。
「売却価格が高すぎる」と私は思う。

毎年40-50億円の赤字が出ている事業を、純資産(93億円)を上回る109億円で売却できれば御の字である。
通常M&Aの世界では、大きな赤字が出ている事業が、純資産以上で売れるということはまずない。

派遣切り等で失業が現在大きな社会問題になっており、また事業が赤字を垂れ流している現状において、全従業員の雇用の継続や一括売却が条件(少なくとも希望条件)となったのは妥当であろう。

宿泊・保養施設である「かんぽの宿」は一種の不動産ビジネスと言えるが、昨今これほど多くの不動産会社が倒産している中、不動産事業の買収資金を金融機関から調達するのは極めて困難であるし、買い手自体が相当な信用力がないといけない。
従い、入札前に一部の小規模で信用力・体力がないと思われる買い手企業がはじかれたのは不自然ではない。

もちろんプロセスに出来レース的な要素があったのであれば厳しく追求されるべきだが、今から一から再度売却活動をはじめるとなると、売却するのに半年から1年はかかるだろう。

例えば、半年売却が遅れれば、20-25億円の赤字が追加で発生するので、その分売却価格が上乗せされないと経済的に正当化されない。仕切りなおしで売却活動をしても、より高値で買収するまともな買い手を見つけられるかは極めて疑問である。

経済界は概ね日本郵政・オリックスに同情的と思われるが(或いは触らぬ神に祟り無しということで静観)、政治家が与野党共に鳩山総務相に同調的なのは残念だ。

(弊社は「かんぽの宿」の譲渡に関し一切利害関係はありません。また、新聞報道以上の情報は持っておりません。)

藤井一郎

07/Feb.2009 [Sat] 19:56

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