アテンドグループ
「いまの業務にターボがかかる」新潟有数のITサービス会社がさらなる成長のため決断

新潟県の北東にある東蒲原(ひがしかんばら)地区で70年以上、公共工事を中心に土木建設業を行ってきた株式会社三川土建。安定した経営で、県の「優良工事」の評価を何度も得ている企業が、M&Aを決断しました。3代目社長である阿部豊さん(67歳)は、M&Aを決断した理由として、浮き沈みの激しい業界にあって将来に不安を抱いたこと、そして後継者の問題があったと話します。株式譲渡した今、どのような気持ちでいるのかうかがいました。
創業は1949(昭和24)年。祖父が始め、父が継いで、1991(平成3)年に私が継ぎました。「三川」という地名を冠しているように、地元に完全密着型の建設会社で、9割以上が公共工事です。道路の拡張工事、河川の護岸工事、砂防工事、治山工事、林道の開設工事などを行っています。最近では、コンクリートのメンテナンス工事も多く、古くなってきた重要コンクリート構造物や橋の補強工事をしています。
創業当時から業務内容は変わりませんが、技術は日進月歩です。私が継いでからは特に、施工の機械化、工法の多様化が急速に進んでいることから、日々新しい技術や機械を取り入れて技術を磨いてきました。時代とともに、発注元からの要望も上がっていて、こちらも革新していかなければ応えられない。その結果、経営は安定していて新潟県から「優良工事」の表彰を何度もいただいています。
ひとつには、後継者の問題です。私には娘が3人いて、そのうち2人は当社で働いていますが、いずれも「女性経営者として土木建設業を牽引する」というタイプではない。それぞれの婿も会社に入っていて、実は後を継がせようと思って「いずれは継いでくれないか」という話をしていました。ただ、それがいいのかどうか徐々に迷いが生まれました。
私は長男として生まれ、物心ついたころから「後継者になるんだ」「会社を背負うんだ」という覚悟が自然と身に付いていました。一方、娘婿はそのような将来や覚悟とは無縁でした。いきなり会社を背負わせたところで、「果たしてやっていけるのだろうか」と思いました。私自身は70歳で退くつもりでしたから、娘婿は40代で会社を継ぐことになる。単純に、「まだ若いな」と。私自身の経験から、建設業界で40代の経営者は若いんです。
社長の年齢云々だけではなく、建設業界は浮き沈みが激しいです。公共工事を主に行っているとなれば、なおさらです。国や県の予算で、工事が増えたり減ったりします。一方で、業務が減少傾向にあることは間違いない。その上、人手不足は他の業種よりもさらに深刻です。仕事が取れそうな場合でも、できる人間がいなければ逃すことになります。そのようなことを考慮すると現在以上の発展は望めないのでは、という不安は常にありました。
もうひとつ、株式の生前贈与も悩みでした。当社の株は私が88%くらい持っていましたから、生前贈与をするとなればそれなりの額の贈与税がかかり、非課税の範囲で贈与すれば、それなりの年月もかかってしまう。私が急に亡くなったらどうするのだろう、そう考えると心配でした。
いまから2年ほど前のことです。銀行からM&Aを助言されました。「話だけ聞いてみよう」という軽い気持ちでしたが、結果としては良かった。「M&Aと一口に言っても、いろいろなケースや譲渡のパターンがある」「M&A後も、看板や体制、スタッフもそのままで、事業を継続しているところがたくさんある」と聞いて、率直に「悪くないな」と思いました。それで娘婿の専務に「うちの資本だけでやるのもいいが、大きな傘の下に入って、事業を継続していく方法もある」と話しました。
「考えてみます」ということで、彼なりに調べたのでしょう。半年後、彼より同意が得られたので、その時点でどの仲介会社に依頼するか、本腰を入れてリサーチを始めました。

「着手金を取る」と明記されていたからです。M&Aが成功したときの成功報酬も高いと感じました。特に着手金については、「交渉がうまく進まなかった場合、担当者の本腰が入らなくなるのではないか。着手金を払ってそれでは困る」という懸念もありました。それ以降、送られてくるダイレクトメール等を時間のある時に確認しながら「M&A 口コミ」などとネット検索したところ、インテグループがヒットしました。
さっそくインテグループのサイトに飛んだら「着手金なし」とあって、「これはいい」と。成功報酬も良心的で、掲載されていた成功事例にも共感できました。とはいえ、数社で検討したく、そのタイミングで手紙が来ていたインテグループを含む合計3社と実際に面談することにしました。
担当の青木裕さんが大きかったです。私に合っていると思いました。他社の担当者は若くて、もっと前のめりで、「うちだったらこんなに高く売れます」「是非うちでお願いします」とセールス一辺倒。一方、青木さんは初対面のときから、「いろいろな仲介会社の担当者と会ってみるのがいいですよ。会社もですが、担当者との相性が大切です」と言う。
さらに事前にお願いした無料株価診断でもインテグループさんは正直一番株価が低かったのですが、その理由も分かりやすく説明いただき、「最終的な株価は買い手様との間で決めるものですので、机上の株価はあくまで参考程度にしていただいて、株価よりも説明する担当者の姿勢を見た方がいいです」と。1回目はコロナ禍でWebでの面談でしたが、2回目に実際に会って話してみると誠実さも感じました。
仲介契約を結んでも、ハッピーエンドになるかどうかはわかりませんから。「急いでいない。大切なのは相手だ」と伝えると、青木さんは「ご納得いただくまで、いろいろな会社をご紹介させていただきます」と。その後、うちの業績を含めた情報を開示したところ、20社ほど興味を示してくださったそうです。そして、最終的に面談を希望されたのは3社でした。
もともと不安はなかったんです。会社として商品価値はあると思っていたので「どこか、手は挙がるだろう」と。決算の数字もいいところをキープしていましたし、無借金経営で「県の優良工事」という公の評価ももらっていましたから大丈夫だろうと。
青木さんの提案です。3社のうち2社はファンドで、1社が同じ業種の事業会社。「業種のマッチングがいちばんです」と言われ、11月に株式譲渡をすることになるメイホーホールディングスの尾松豪紀社長と面談をさせていただきました。
「地域に光を当てて、日本を元気にしたい」という会社の理念にまず惹かれました。地域は経済的に疲弊していて活気がないということは、私も日々感じていましたから、「地方から元気にしたい」というポリシーをともに追求していくのは意義があると。業務内容にも期待が持てました。
メイホーグループは、コンサルティングなどの建設関連サービスをはじめ、人材派遣、建設、介護、グローバル人材教育など幅広い事業領域を持っています。カンボジアには人材派遣の会社もあると知り、人材不足が業界の恒常的な問題になっている昨今、解決する糸口になるのではと思いました。
譲渡先となるメイホーエクステック(メイホーグループの中間持株会社)の山本社長、さらに、先んじてグループの傘下に入っている三重県の建設会社・東組の東社長もご同席いただきお話をうかがうことが出来ました。特に、東社長からは「グループに入ってから人事、総務なども指導を受け、右肩上がりで業績が良くなった」という話を聞けました。
そのときに「グループに入るメリットがある」と感じ、2回目の面談に進みました。今度は買い手様の本社に赴き、上場企業グループの社内を案内され、そのとき7割方気持ちが決まりました。
一番よかったのは、本当にスピーディーにいい会社を紹介してくれたということ。これに尽きます。譲渡後も同じ看板を掲げつつ、役員が外から派遣されてくることもなく、自主性を持たせていただき、これまでの業務をこれまで通りの社員で営業できている。しかも今後は、上場企業の一員になった、というブランド力が大きな力になってくるだろうと手応えもあります。とても満足しています。

譲渡契約を結んだあと、社員全員を集めて説明会を実施しました。社員が動揺するだろうから伝えるのは契約締結後に、という判断でした。案の定、みんな驚いていました。「大きな会社の傘下に入って、営業力を上げ、飛躍するためにこういう方法を選んだ。社名も役員も組織も従来通り、なにも変わらないから安心して欲しい。これまで通り変わらずお願いしたい」と正直に話しましたが、特に幹部からは「会社を売ってしまうんですか?」と。やはり、そういう声は上がりました。
いえ、私自身も契約までの半年間は、気持ちが行きつ戻りつしました。私自身が決心して始めたことでしたし、お相手様にも条件にも納得していましたが、心情的に踏ん切りをつけるにはそれなりの時間が必要でした。祖父が立ち上げ、父が守ってきた会社です。自分の代で手放すのはどうなのだろうと。申し訳ないという気持ちと、一抹の寂しさもありました。いま契約して2カ月が経ち、気持ちにも整理がついたところです。それと同時に、大きな傘の下に入った、という安心感が生まれています。
100%のバックアップをしていただきたいです。建設関連の業務だけでなく、総務、人事、経理、財務など全般において万全の体制になるよう、後押ししていただきたいと思っています。そして人材については、カンボジアの人材派遣会社にも期待しています。先んじて傘下に入った建設会社は、すでにカンボジアからの人材を受け入れているそうで、うまくいっていると聞いています。
あと3年。70歳になったら引退して、現専務である娘婿に社長を任せようと思っています。社内では現在、メイホーグループに合わせてシステムを全面的に変更しようと移行作業を進めているところです。財務を含め、経理と専務がやりとりをしているので、自覚も生まれているのではないでしょうか。
また、メイホーグループには70カ条の「メイホーフィロソフィー」があります。毎朝、朝礼でひとつずつ唱えていますが、本当にいいことが書いてある。同じグループの一員として同じ方向を向き、同じ心構えを持つには効果的だと思っています。
株式譲渡をしたあとに、実はとある地元の建設会社の社長から電話が入りました。「メイホーグループとM&Aした記事を見ました。実際にしてみてどうですか?」と。聞けば、後継者である息子さんが社内にいるけれどもこのまま継がせていいのか悩んでいると。私の場合は、息子という後継者がいないことが、M&Aを検討するひとつのきっかけになりましたが、たとえ後取りがいたとしても不安はあるのだと改めて実感しました。
後継者がいる、いないにかかわらず、将来に不安を感じている方には、「M&Aをひとつの選択肢にしてもいいのではないか」と伝えたいです。お電話いただいたのは面識のない社長様でしたが、「近々近くに行った際は、ご挨拶させていただきます」とのことでしたので、もう少し譲渡の意思が固まったら青木さんをご紹介したいと思います。
浮き沈みの激しさや直系に継がせるべき、という風土。一方で、これからは技術力を高めていかないと同じように仕事が取れなくなるという時代性もあります。うちは、技術力を高めてきたという自負はありましたが、メイホーグループに入ってからは、その技術を発信するべく事業計画の作成なども相談しています。
小さな会社では手が回らないことをフォローしてもらったり、人材を強固にしてもらったりして、新たな仕事も取れるようになるなど、グループ企業の具体的なメリットも感じています。こちらとしては、売り上げを増やして利益を上げる。互いにいい関係を築けることを願いつつ、いまその一歩が順調に踏み出せたと思っています。

地場密着の建設業界では、業績が堅調な一方で、後継者問題が顕在化し、三川土建様以外にも同様のお悩みを抱えていらっしゃる経営者様は多いのではないでしょうか。
業績好調のなか、後継の負担軽減と会社の更なる発展を企図してのM&Aは賢明なご判断だと思料致します。
初めてご訪問した際、コロナの影響もあり地域全体に元気がなく、何とか力になりたいと個人的に強く感じましたが、そのような地方を活性化させていきたいというメイホーグループ様の経営理念にも強く共感致します。
三川土建様とメイホーグループ様の今後の更なるご発展を祈念しております。
