ある会社を買収すれば、その会社の売上を取り込むことができるので、その分、グループ全体の売上はアップしますが、これは単純に売上が「1+1=2」になっているだけです。
ここでいう売上シナジーとは「1+1が2を超えるような買収効果」のことで、それを達成する手段として、具体的には以下のようなものがあります。
◎販売チャネルの獲得(川下への進出)
◎営業ノウハウの移植
◎ブランド力活用
◎会社の知名度、信用力を活用
◎商品・サービス開発力の向上
◎シェア向上による市場支配力、売価支配力アップ(業界シェア上位企業同士のM&A)
2社が一緒になることによって生じるコスト削減効果のことです。人員削減も含まれることがありますが、それだけではなく、効率化、規模のメリットによるコスト削減シナジーであり、以下のようなものがあります。
◎仕入れコストの削減(規模の拡大による交渉力アップ、川上への進出など)
◎販売コストの削減(販売拠点の統廃合など)
◎物流コストの削減
◎製造コストの削減
◎間接部門コストの削減
◎研究開発の合理化(開発人員の削減、開発の効率化)
これは「業績を安定させたい」というニーズをかなえるものです。
多くの経営者は、事業間のリスクを分散して、中長期にわたって安定的に会社を経営したいという思いをもっています。ひとつの事業、一部の顧客に売上が集中していると、業界が不況になったり、主要顧客が離れたりすると、たちまち経営危機に陥ってしまうためです。
ただし、これはシナジーに含めない場合もあります。
なぜなら、投資家側から見ると、リスク分散や業績の安定化を求めて多角化した会社(コングロマリット)の個々の事業の価値を分析するのが難しく、したがって、その会社総体としての価値の評価が難しくなるためです。
そして、多角化企業は、経営資源の効率的な配分にも疑問をもたれやすく、投資対象として敬遠され株価が割安になることがあります。これを「コングロマリット・ディスカウント」といいます。
投資家は、さまざまな業種、地域の銘柄に投資することにより、自らリスクを分散させることができるため、必ずしも投資先の個々の企業が事業を多角化してリスクを分散させる必要はないと考えることがあります。
これは財務内容がいい会社同士が経営統合した場合に、資金調達力(借入余力)が大きくなったり、資金調達コストが下がったり(より低利で資金調達できる)することです。
いわゆる勝ち組同士のM&Aによって実現する効果です。
経営管理手法の導入による業務効率化や無駄の排除、また企業文化の移植による社員のモチベーション、生産性の向上もシナジーに含める場合があります。
これらは売上アップまたはコストダウンにつながります。
ところで、M&Aはシナジーがあれば成功、なければ失敗ではありません。M&A巧者といわれている企業でも、M&Aではあえてシナジーを追求しないと公言している会社もあります。その会社によると、それは買収した会社を将来売却する際に、グループ会社間でシナジーがあると合理的な意思決定ができなくなる可能性があるからとのことです。
重要なのは、自社の戦略や買収目的に合致するM&Aか、また、シナジーを正しく想定できているかということです。
シナジーで1+1が3になれば、それは相当シナジーが大きいといえますが、実際には1+1が2.1かもしれませんし、2.01かもしれません。また1+1が2未満になるということもありえます。
シナジーの最後に「負のシナジー」について説明しておきます。
買収検討を進めるときには、M&Aによる負の側面も考慮しなければなりません。たとえば、M&Aを契機にして買収対象会社の顧客が離れること、経営陣・社員が辞めること、社員のモチベーションの低下、ITシステムなどの統合に関わるコストなどです。
このようにM&Aによってコストがかかったり、価値が毀損されたりすることを「負のシナジー」といいます(「マイナスのシナジー」「ネガティブ・シナジー」「ディスシナジー」と呼ばれることもあります)。
ときに負のシナジーとカニバライゼーションが混同される場合がありますが、これらは意味していることが違います。
カニバライゼーションとは「共食い」という意味で、同一企業グループ内で、商品・サービスが競合し、互いにシェアを奪いあう状態を意味します。M&Aによって同一グループ内でこのような状況が生じたとしても、もともと競争状態にあったことには変わりはないので、これ自体は負のシナジーではありません。
もうひとつM&Aによる負の側面として、「スタンドアローン問題」についても、とくに買い手企業は知っておく必要があります。
これは買収対象があるグループ会社の1社であったり、ある会社の一事業であったりするときに、そのグループや会社から分離されることによって生じるマイナスの影響のことです。
たとえば、間接部門(財務会計、人事総務など)、仕入れ、生産、販売などの機能をグループ会社やほかの事業部で行っていた場合に、買収対象の会社・事業だけ切りだして買収した場合に新たなコストが生じることがあります。これを「スタンドアローン・コスト」といい、買い手は交渉時には、ビジネスモデルをよく理解したうえでこれらのコストを試算し、条件に織り込む必要があります。
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