M&Aの社会的意義として、第一に「優良企業の存続と発展」を挙げることができます。
近年では経営者の高齢化にともなう中小企業の後継者不足が社会問題となっています。国内企業の60%超が後継者不在という調査結果も出ており、「廃業して従業員や取引先に迷惑をかけるわけにもいかないが、経営を引き継ぐ人材が見つからない」と悩んでいる経営者は少なくありません。
また、後継者不在の問題以外にも、「自分がこのまま経営を続けても、これ以上の成長は難しい」、「今とは全く別のビジネスに挑戦したい」などと考え、事業意欲が低下している経営者も少なくありません。他にも、経営戦略の再構築により、特定の子会社や事業をノンコアとみなして売却し、経営の選択と集中を図ることもあります。
そのような場合には、M&Aによって十分な対価を得ると同時に、能力とやる気のある人や会社に経営をバトンタッチして、会社のさらなる成長・発展につなげてもらうことが、従業員や取引先にとっても最善の方法になりえます。
業績不振で再生の見込みがない場合は会社を清算することも1つの選択肢ですが、付加価値を生み出している優良企業であれば、M&Aによって会社の存続・発展を図ることが、従業員や取引先、ひいては日本経済にとってもプラスになると考えられます。
M&Aの第二の意義は「起業家精神の高揚」です。
日本経済がさらに活性化し、世界の中でも重要な地位を保ちつづけるためには、イノベーションをもたらす起業家がもっと増えることが必要です。
一方で、優秀な人材が安定した地位を捨てて起業することは大きなリスクを伴います。日本の経営者の多くはエグジット戦略としてIPO(新規株式公開)を目指しますが、IPOは非常にハードルが高いため、最終的に起業のリスクに見合ったリターンを得ることは簡単ではありません。
日本と違い、欧米ではM&Aによって会社を売却することが、創業者利益を実現する最も一般的な方法になっており、多くの起業家が将来の売却を目標に会社を創業しています。特に米国では、ベンチャーキャピタルが投資したスタートアップの約9割が、IPOではなく売却によりエグジットしています。
M&Aは、リスクに見合うリターンを起業家に与える、より確実性の高い手法であると言えます。日本においてもM&Aが一般化することで、リスクをとって起業した経営者が、困難を乗り越え事業を成功させた暁に大きなリターンを得る、というロールモデルが確立され、起業家精神の高揚、経済の活性化をもたらすでしょう。
M&Aの意義として、最後に「経済全体の生産性の向上」を述べます。
日本企業は、欧米企業に比べて生産性や利益率が低い状況が続いています。市場の成熟化や国内人口の減少、グローバル化など構造的な課題に直面し、従来に比べて経営判断は更に難しくなっています。
そのような状況において、日本が先進国として生き残っていくためにも、企業の生産性向上は避けて通れない道です。
M&Aでは、売り手の会社と買い手の会社が一緒になることで、商圏の拡大や商品・サービスの拡充、技術やノウハウの共有等により、シナジーを発揮することが期待されます。
実際に、経済産業省の『企業活動基本調査』においては、M&Aによって売り手・買い手一体で生産性の向上を実現していることが見て取れます。
また、理論的には、最も大きなシナジーを創出できる買い手が、最もいい価格条件を提示し、M&Aが成立すると考えられます。相乗効果が発揮されるM&Aが増え、またM&Aによる企業統合で企業規模が大きくなれば、各企業の競争力が高まり、全体として生産性の向上につながることになります。
以上のように、M&Aには「優良企業の存続と発展」「起業家精神の高揚」「経済全体の生産性の向上」という3つの社会的意義があると考えられます。
今後は、日本においてもM&Aがより身近なものとなっていくでしょう。
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