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中北運輸株式会社

後継者のいないオーナーに代わって下した決断は、M&Aによる従業員の継続雇用

譲渡企業譲受企業
中北運輸(株)中野商会(株)
三重県愛知県
運送運送
スキーム 株式譲渡

三重県伊勢市を拠点として、石油タンクローリーとユニック車(クレーン付きトラック)による運送業務を手掛ける中北運輸株式会社。オーナーの中北和行さん(77歳)に請われて社長に就任した堤康博さん(57歳)は、自らの年齢も考慮してM&Aによる会社売却を決断しました。「オーナーが元気なうちに後継者を見つけなければ、廃業も免れない」。従業員の雇用を守りたいという強い思いが、最善の結果をもたらしたと振り返ります。

 

特殊車両を武器に地場の伊勢市をメインに運送業務を展開

オーナーの中北和行さんが中北運輸を創業した経緯は、どのように聞いていますか。

もともと中北オーナーは、三糧輸送(本社:三重県四日市市)の伊勢営業所の支配人として運送業務を手掛けていました。主に長距離輸送や重機など重量物の輸送を行っていたのですが、途中から石油タンクローリーを走らせるようになりました。石油ローリー事業は順調に成長していったのですが、既存の運送業務と勤務時間も違えば、給与体系も違っていました。そこで、これを切り離し、地場のトラック輸送業務主体の運送会社として1981年に設立されたのが中北運輸です。

私は、タンクローリーの乗務員として1986年に中北運輸に入社しました。景気がよかったので、仕事はハードでした。3年ぐらいローリーに乗った後に、車を降りて、事務所で配車を担当するようになり、その後は営業部長や専務の役職をもらって、実務はすべて私が見てきました。従業員は最盛期で50人を超え、5台からスタートしたタンクローリーは最終的には69台になりました。

運用業務以外にも、ユニットハウスのレンタル・販売や不動産賃貸業も行っていますが、売上げ全体に占める割合は小さなものです。

本業のタンクローリーで運ぶガソリンや灯油は、誰に頼まれて、どこに収めているのですか。

私たちは全農系なので、JAのサービスステーションに収めています。オーダーはすべて東京からファックスで流れてきて、四日市市の製油所でガソリン、灯油、軽油を積み込んで、三重県の全域、岐阜県と滋賀県の一部に輸送しています。深夜2時くらいに車庫を出発し、製油所に行って、サービスステーションに運ぶまでを「1トリップ」とすると、繁忙期の冬場は3トリップくらいしています。

中北運輸の特長や強みはどこにありますか。

石油タンクローリーやユニック車(クレーン付きトラック)など、特殊な車両を扱っていて、競合が伊勢地区にはいないことでしょうか。私たちのところには、一般雑貨などを運ぶ“ハコ車”は一切ありません。そういったところが差別化ポイントでしょうか。あとは地場をメインとしているので、どちらかというと従業員が集まりやすい業種かと思います。ただ、習得するまでに時間がかかるのがデメリットかもしれません。昨日、今日やって来て、2、3日でOKですよとはなかなかいかないので。習得するには当然、大型免許や危険物取扱者の資格も必要になりますし、技能を身につけて独り立ちするまでには、ローリーだと最低でも約2カ月、トラックだと約1か月半はかかります。

 

創業オーナーの高齢化と後継者不在からM&Aを検討

今回、インテグループを通じて会社譲渡に至ったわけですが、何故、このタイミングで第三者に売却を考えるようになったのですか。

1つは、中北オーナーがいま77歳と高齢であることが挙げられます。私にも息子がいるのですが、まったく違った業種で会社員をしていますので、いまさらこの会社に来いといっても、会社を継ぐわけにもいきません。私も57歳ですから、先のことを考えれば後継者問題でつまずくことは目に見えていたものですから、私が動けるうちに、そしてオーナーも健在なうちに話をつけておいたほうがいいかなと考えたのです。

M&Aに関しては、そんなに詳しい知識はありませんでしたが、興味を持ってくださる会社があれば、パートナーとして引き受けてくださるんじゃないかと思っていました。幸いにも業績はそこそこ良いですし、昨今の人手不足を背景に、タンクローリーもトラックも事業を継続していくことが可能なものですから。

長距離輸送だと、乗務員はその日に帰ることができません。ところがタンクローリーだと、朝は早くてもその日には帰れるということで、私たちのような田舎でも、従業員を募集すれば、それなりに集まってきます。事業拡大とともに今後は増車の可能性も大きいと見ていますので、私の後任の方が現れたなら、ぜひ一緒に仕事をやって、ノウハウを伝えていきたいと思っていました。

話は遡りますが、堤さんが社長になったのは2011年4月のことです。中北オーナーに頼まれて、「はい、わかりました」と引き受けたのですか。

いやいや、そんなことはないです。その15年以上も前から、「社長になれ」と言われていたのですが、私にまったくその気がなかったので、断り続けていました。ところが8年前、中北オーナーが「社長になってくれないのなら、廃業しようか」と言ってきたので、追い詰められて、私も条件を出したのです。タンクローリーとユニック車の地場での輸送だけを残して、残りの部門はすべて整理解雇するならいいですよと。東日本大震災があったのがその年の3月。私が社長になったのが4月です。社員全員を路頭に迷わせるわけにはいかないので、生き残るにはこの方法しかなかったと思います。

そういった意味では、堤さんはサラリーマン社長ですし、息子さんの件もあるので、今回、堤さんが後継者になるという選択肢はなかったのですね。

あったかもしれませんが、すぐに次の後継者を探さないといけないですし、中北オーナーが万が一倒れたりすると、話は進まなくなってしまいます。せっかく整理解雇して残ったものを今後も継続させていくことが一番重要ですし、そのためには一度M&Aをお願いしてみて、成功すればもちろんOKですし、もしダメなときは、そのときは廃業も仕方がないと考えていました。

 

着手金のかからない仲介会社にM&Aを相談

数あるM&A仲介会社のなかで、インテグループと最終的に契約されましたが、その他の仲介会社も調べたり、問い合わせたりしたのですか。

自らしました。誰にも相談しないで(笑)。インテグループさん含め3社です。その他にももう1社あったのですが、「着手金が必要」と言われ、そちらは断りました。

M&Aを進めるにあたり、何か不安な点はありましたか。

一番大きかったのは、この会社の本拠地の問題です。伊勢市というと知名度はあるのですが、はたしてM&Aの魅力に適している場所なのかどうか、途中から不安になりました。

運送会社というのは、中継点がほしいという会社が多いのかなと想像していました。とすると、伊勢市だと中継点になりにくいのではないか。高速道路は通っていますが、わざわざ下まで降りてきて、また上がろうと考える会社があるのか、と。それともう1つ、私どもの会社には“ハコ車”がないし、倉庫もありません。それらがあれば、いったん中継点に荷物を置いて、そこから出し入れして運んでいくようなことも可能なのかなと。不利な要因ばかりが頭のなかをよぎって、大丈夫かなとも思いました。

数社の買い手候補と面談されたとのことですが。

いずれも同業の運送業者でした。実際に譲渡先となった中野商会さんは、愛知県豊橋市にある輸送会社で冷凍トラックでの運送がメインです。

譲渡先を選ぶ際に、これだけは譲れない条件というのはあったのですか。

やはりそれは、いままでの従業員の雇用を継続していただくというのが最低条件でしたので、それを聞き入れていただいたことが一番ですね。

オーナーの中北さんには、どのタイミングで報告されたのですか。

実は、最初に話を持って行ったのは、インテグループさんとやりとりしてから少し経った後でした(笑)。それまでは、M&Aの仲介会社と内密に話をしているだけで、オーナーとは話をしていなかったのです。まずはM&Aの可能性を確認してから、それを踏まえて、オーナーに私の意向を伝えました。

オーナーは驚いたのではないですか。

「仕方がないな。でも、ダメだったら会社をたたんでもよかったのに」と言われました。止めるのは簡単だけど、まだ事業を継続していける会社を廃業することによって、従業員が仕事を失うのはあまりにも酷です。若いうちならまだしも、40代後半になって辞めさせるなんてできません。私の頭のなかには廃業という言葉ありませんでしたから、オーナーの了解を得て、「よし」と気合いが入りました。

 

地方でもM&Aは成功する!まずは勇気を持って

いろんな情報が集まり、複数の買い手候補との面談を重ねるなかで、新たな発見や心境の変化はありましたか。

自分が思った通りにはいかないということです。相手さんの希望するところと、私どもが描いているビジョンがズレていることも多々ありました。私どもの本業は運送業です。継続雇用を前提に本業を発展させていきたいと考えているところに、別の部門をもっと伸ばしたらどうかという話もありました。あとは、個人で運送業に興味を持たれた方もいらっしゃいました。少しでもノウハウをお持ちであればいいのですが、そうでなければ、私が引退したときに、この会社を引っ張っていくことは難しいので、残念ながらお断りしました。

一方、譲渡先となった中野商会の中野社長は、運送業を始められて10年ぐらいと聞きました。タンクローリーとユニック車という、自社にない輸送業務に興味を持たれているという点も私の心に響きました。この方とパートナーになれば、シナジーを発揮して、もっと事業を上向きにすることができるんじゃないか、そんな期待感も持たせてくれました。

2018年12月に株式譲渡が完了しましたが、中北運輸の今後の経営体制はどう変わりますか。

引き続き、私は社長として残りますが、1年先ぐらいには、中野商会から役員の方を招いて、徐々に業務権限を移していく予定です。まずは普段通りに仕事をこなしていきながら、中野社長に提案したり、あるいは提案されたりしながら、新しいことにもチャレンジしていきたいと思っています。

インテグループに依頼してよかったですか。

よかったです。しつこく本人にも話すのですが、依田さんでよかった(笑)。他社の担当者と比較しても、依田さんの場合は、打てば響くようなキャッチボールができる。投げて、いつになったら戻ってくるのか、では困ってしまうわけで、その点は非常に良かったです。ダメなものはダメ、いいものはいい。早く決めて、いい情報をどんどん流していただいたのが本当に良かった。私どもは依田さんにとっては数あるなかの1社ですが、親身になってサポートしてくださいました。もちろん、売却そのものも満足しています。

今回のご経験を踏まえて、会社売却を検討している経営者にアドバイスやメッセージをいただけますか。

私どもは後継者不足を理由にM&Aを検討しました。他社さんのケースはわかりませんが、ただ、会社の形態や立地、そのたもろもろ総合的に含めて、こうした地方や田舎でもM&Aを成功できたことは、大変喜ばしいことであり、インテグループさんには感謝の念しかありません。一方で田舎に行くほど、会社売却に対して恥ずかしいという思いを持つ方もいらっしゃるかもしれません。そこは殻を破らない限り、打開策は得られません。一歩踏み出す勇気を持てば、いいことがあるかもしれません。

インテグループ担当者からの一言
M&Aにより従業員の雇用が守られた成功事例
従業員の雇用、働く環境を維持してもらえることが譲渡条件です。経営者として当たり前のことを、真っ先に仰られた所に堤様のお人柄が現れていたと思います。今回は、経験豊富なドライバー及び社会インフラを担う顧客がM&Aにより引き継がれた成功事例になったと思います。
コンサルティング部
マネージャー 依田真輔