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熟年起業とエムアンドエー

3月末にエムアンドエーが成立した会社は、あるニッチ業種で国内シェア8割超の優良企業だった。

同社を創業したA社長は、50代で脱サラし、設立後わずか9年で、会社をここまで伸ばしてこられた。
事業は順調そのものだったが、会社の更なる発展には、自信の年齢と組織力の無さが弱点になると感じ、M&Aという道を選択された。
当然、多くの買い手から買収の打診があり、ある上場企業への譲渡が決まった。

A社長のような大企業へ就職、脱サラして起業、成長段階で売却という形は、日本経済活性化のための一つのロールモデルだ。

A社長は、大手外資系メーカーを退職後、自営の個人コンサルタントを経て、50代で起業された。会社の立ち上げ段階では、大手メーカー時代に培った業界知識と人脈を大いに活用された。また、得意分野への資源の集中、高付加価値商材の提供、少人数で機動力のある組織設計、低コスト・高収益体質、完全無借金の健全な財務など、熟年起業家らしく地に足がついた堅実な経営をしてこられた。まさに、熟年起業のお手本のようなケースだ。

最近、若者の大企業志向を嘆き、若者の起業を煽るような論調の新聞記事やニュースが目に付く。
起業が経済活性化に必須の要素であることに異論はない。
しかし、起業には、失敗のリスクがある。もう少し正確に言うと、ほとんどの起業は失敗する。
そんなリスクのある起業を無知な若者に強いるような風潮は、年金・財政問題と同根の既得権者から若者への責任の押し付けに他ならない。

日本経済活性のために、本当に推奨すべきは、むしろ熟年者の起業だろう。
A社長のような大企業で経験を積んだ40代~60代のビジネスマンが、その経験・人脈をフル活用すれば、成功確度の相当高い起業が可能となる。

ただ、熟年起業には、若者の起業と比較して、課題が一つある。それは、熟年起業では、会社が立ち上げの段階から成長フェイズに入った時点で、社長が高齢になってしまっているということだ。

高齢の社長が、会社を成長させらないかというと、そんなことは決してない。
しかし、会社を成長させるには、大変なエネルギーが必要となる。また、社員の増加、投資の拡大、資金調達など、経営者責任も重くなる。熟年起業家は、自分のペースで、また、自身がコントロールできる範囲で、身の丈にあった会社経営を好む傾向が強いため、重い経営責任には躊躇する社長が多い。そのため、会社成長のチャンスを、みすみす逃してしまう可能性がある。

しかし、この課題は、今回のケースのように、エムアンドエーという形で解決可能だ。

大企業でビジネス経験を蓄積、脱サラして熟年起業、身の丈に合った規模で成長段階まで経営、その段階で会社を売却して創業者利益を獲得、将来の発展は組織力・資金力のある大企業に任せる。

これが、熟年起業の理想形ではないだろうか。

そして、この理想形の実現には、エムアンドエーをサポートするアドバイザーが果たすべき責務も大きい。
このような社会的意義の高いM&Aを、1件でも多くお手伝いできるよう、一層努力していきたい。

籠谷智輝

10/Apr.2012 [Tue] 21:41