M&Aの現場(BLOG)

本当の交渉力

留学中のビジネススクールで、Negotiationというクラスがありました。
そのクラスの冒頭の教授の言葉が、“You don’t get what you deserve, you get what you negotiate”というものでした。
要するに、ビジネスでは、手に入るものは全て交渉で決まるということです。
なんともアメリカ的な考え方だなと思いつつ、非常に興味深い視点だと感じたのを覚えています。

M&Aでは、通常のビジネス取引以上に、この交渉が重要になります。
譲渡価額はもちろんのこと、引継期間、譲渡後の職位、従業員の雇用、社名等、契約書に記載される全てが交渉で決まると言っても過言ではありません。

しかし、いくら交渉が重要だとはいえ、中小企業のM&Aでは、礼儀をわきまえない交渉のやり方や、非常識なハードネゴシエーションは、控えるべきだと思います。

M&Aにおける最大の交渉ポイントは、譲渡価格です。
当然、売り手はより高く売りたい、買い手はより安く買いたいと考えます。
いきおい、できるだけ金額を下げようと、基本合意後に、理不尽な理由で金額の引き下げ交渉をするような行儀の悪い買い手も出てきます。

しかし、企業買収で最も重要なことは、買収した会社が買収金額以上の価値を保ち続けることです。中小企業のM&Aでは、M&A後の売り手の社長サポート次第で、その価値が左右されることも多く、交渉において、礼節を欠くやり方をしたり、度を超えた無理な減額交渉は、売り手の信頼感を損ない、M&A後のサポートに潜在的・顕在的な悪影響を及ぼす可能性があります。
交渉で安く買い叩いても、その金額以下に価値が下がってしまっては、本末転倒です。

M&Aにおいては、表面的な条件についての交渉力を超えた、企業買収本来の目的を達成するための真の交渉力が必要となるのではないでしょうか。

籠谷智輝

15/Apr.2011 [Fri] 21:13

震災からの復興

本日、あるM&A案件の調印式が執り行われました。

震災、原子力発電所の事故、経済的な打撃、挙げ始めれば不安要素はいくらでもあります。
リスクを避けて、調印を延期する、または、M&A自体をやめてしまうということも、選択肢の一つでしょう。

しかし、本件の売り手と買い手は、このような状況であるのでということで、むしろ調印日を早めて、実行に移されました。
両社長の経営者としての器の大きさ、意思の強さを、ひしひしと感じました。

連日、深刻なニュースが報道されています。
しかし、状況の悲惨ばかりに囚われ、過剰なリスク回避に走っては、日本経済の回復力は大きく削がれてしまうでしょう。

被災を免れた我々がやるべきことは、目の前の仕事を、いつもどおりに、遂行することなのだと思います。

我々アドバイザーは、被災者の命を救うこともできなければ、原発事故を食い止めることもできません。
しかし、目の前の案件に真摯に取り組み、1件1件成約に結び付けて行いくことが、長期的には、日本経済ひいては日本そのものが震災からの回復する一助になると信じています。

本日の買い手様と売り手様の強い意志に、日本の復興に向けて、非常に勇気づけられました。
両社の今後のますますのご発展を、心より祈念致します。

籠谷智輝

17/Mar.2011 [Thu] 21:09

社長のプレゼン能力

先日、あるM&A案件が成約しました。

本件は、昨年の8月末からに最初のご相談を頂き、そこから約半年間で成約となりました。半年という期間だけみると、特段早期決着でもないのですが、実際は、かなり早い段階から、有力候補先と前向きな話し合いが開始されており、全体として非常にスムーズに進んだ案件でした。

スムーズに進んだ理由として、会社自身の技術力が優れていたことがもちろん大きいのですが、社長のプレゼンテーションが非常に上手かったことも、大きく影響していると思われます。

一般的に、中小企業の社長には謙虚な方が多く、本当は高い技術力やノウハウがあるにもかかわらず、それを声高に主張されない場合が多いのです。

しかし、M&Aのプロセスにおいては、自社の強みを明確に主張することが必要となります。トップ面談の際に、自社の優位性や特徴を上手くアピールできるかどうかで、買い手の印象が大きく左右され、M&Aの成否にも影響を与えます。

自社のアピールがあまり得意でない社長様の場合は、アドバイザーとして、長所や強みがアピールできるように、話を誘導するべく気を配るのですが、この社長の場合は、そのような心配が一切ありませんでした。

社長の立ち上げられた会社が、新たな株主の傘下で、更なる発展を遂げることを、心より祈念いたします。

籠谷智輝

10/Mar.2011 [Thu] 21:07

3代目社長の決断

先日、ある会社の業務提携案件が成約いたしました。

この会社のA社長は、ある老舗企業の3代目です。
先代であるお父様の急死により、20代で社長を引き継がれて、厳しい環境の中、会社を切り盛りしてこられました。

A社長は、弊社にご相談頂いた当初、会社全体の売却を検討されていました。
売却理由は、将来的な業界見通しに対する不安でした。ただ、それに加え、20代で、ある意味不可抗力的に、会社を承継することになり、この家業がご自身の本当にやりたい仕事ではないのではないかという悩みも、売却理由の一つだと告白されていました。
このような悩みは、2代目、3代目の経営者の多くが経験されているのではないでしょうか。
特に、若くして、緊急事態の中で決断を迫られたA社長は、そのような思いをずっと引きずってこられたのではないかと思います。

しかし、いろいろな買い手候補とお話をする中で、ご自身の家業に対する思いを再確認され、また、業界の大先輩である、今回提携することとなった会社の社長から激励されたこともあり、会社全体の売却ではなく、部分的な資本提携の形で、A社長が経営を継続することが、ご自身にとっても、会社全体にとっても望ましいという結論を出されました。
このような結論を出す中で、上述の悩みを捨て去り、一生この業界でやっていくという覚悟を決められたようです。

また、この業務提携に至るプロセスの中で、長年の懸念事項であった株式の分散についても、弊社が間に入ることで円滑に整理することができ、資本関係も非常にすっきりとした安定性のある形になりました。
これは副産物のようなものですが、株主の当事者同士では長年解決できなかったことだったようで、A社長には大変喜んで頂きました。

今回の業務提携により、両社にとって、仕入先・販売先・商材が相互に拡大することになります。双方にとって、非常にメリットの大きいものになるでしょう。
ご相談頂いた当初の悩みからも解放され、前向きなA社長の表情を見るにつけ、お手伝いさせて頂いた私としても大変うれしく思っております。
A社長のますますのご活躍を心より祈念しております。

籠谷智輝

27/Oct.2010 [Wed] 21:01

外食

最近成約した案件は、今最も成約が難しいとも言われている外食事業だった。

不景気とデフレの中、不採算による撤退、それに伴う居抜きの外食店舗の売却が市場に溢れています。

そのような状況下で、いくら利益が出ている外食事業と言っても、特に同業による買収の場合、居抜き店舗と比較されてしまい、なかなか利益の数年分というような価値がつかず、条件が折り合いづらいのが外食事業のM&Aの現状です。

したがって、我社と同業のM&A仲介会社の中には今は外食の売却案件は受けないと言っているところもあります。

このような逆風の中でも、今回成約に至ったのは、以下の3つのポイントがあったからだと思います。
1.安定的に利益が出ていること
2.適性な売却価格
3.新規で外食事業を始める買い手だったこと

特に今回は3がポイントで、異業種からの参入の場合、ノウハウ、人材等の獲得に一定の価値がつくので、条件的には折り合いやすくなります。

言うは易し行うは難しで、異業種の買い手を探すのは簡単ではありませんが、逆にいうとそれが弊社のような会社の一番の付加価値でもあるので、今回のような良縁をこれからも作っていきたいと思います。

藤井一郎

27/Oct.2010 [Wed] 20:59

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