M&Aの現場(BLOG)

最近のM&A市場の動向

最近、ブランドショップ等に行くと中国人の爆買現場を目撃することがよくあります。
東京オリンピックも控え、中国人等の外国人観光客のインバウンド消費は、新興国の景気減速はあっても、それなりに堅調に推移していくと思われます。

M&Aもそのような観点から、外国人に人気がある食品、雑貨、化粧品、アパレル、ベビー用品のメーカーや卸・小売りの買収ニーズが高まっています。
弊社が最近手掛けた案件も、食品小売り、100円ショップ、化粧品等があります。

インバウンド消費とは少し違いますが、日本語学校の運営会社も直近で成約しました。
東日本大震災で留学生は一気に減りましたが、現在ものすごい勢いで戻ってきていて、留学生を取り込みたい専門学校グループが良い条件を提示し譲り受けました。

インバウンド消費関連以外では、介護、調剤薬局、医療機器等のヘルスケア関連、景気回復を反映してIT、建設関連のM&Aが引き続き活発に行われています。

買収(=売却)金額の1件当たりの規模も大きくなってきています。
今年の日本でのM&Aの総件数は、前年比微増程度で推移していますが、買収金額の総額は今年1~8月で既に昨年1~12月の総額を上回っているとの統計もあります。

弊社はもともと中堅企業のM&Aをメインに支援していますが、売却希望の会社の業績がよく、数十億円程度の売却価格になる案件の数が増えています。
これは、昨今の景気回復とともに、全体的に企業経営者の間で売却に対する抵抗感が減ってきたため、売却依頼の問い合わせそのものが増えているおり、売却価格が大きくなる案件もその分増えているということができると思います。

同じ経済規模だとすると、日本のM&A市場はまだ欧米の半分程度です。
これから10年、20年かけて日本のM&A市場は倍増してもおかしくなく、これからが日本企業のM&Aの本番と言えます。

少し前に、ダイヤモンドオンラインに掲載されたインタビュー記事もよろしければご覧ください。

藤井一郎

17/Sep.2015 [Thu] 18:53

調剤薬局のM&A

調剤薬局1店舗の譲渡が今週一つ成約しましたが、相変わらず調剤薬局買収ニーズは非常に強いと言えます。そして売却の相談もまた増えてきています。

譲渡対象の店舗は、隣接の医院からだけでなく、多くの医療機関から処方箋が来ている面対応の地域密着の薬局であり、財務内容も優良でした。そのため、調剤薬局チェーンの大手および中堅の買い手から、売り手の希望条件を上回るオファーがいくつも出てきました。

これまで調剤薬局業界は医薬分業により市場規模を拡大しておきてり、1店舗から数店舗の運営でも十分利益が出る事業でした。しかし、今後は以下の要因により、徐々に収益性が低下していくものと思われます。

調剤薬局の収益性低下の要因:
・薬剤師の不足、人件費増(これは薬学部6年生移行による一時的な現象か?)
・消費増税による収益圧迫(新たな制度が導入されても、収益圧迫は避けられない)
・薬価差益の低下(ジェネリック促進も一因)
・医薬分業の頭打ち(既に医薬分業は65%を超えている)
・ドラッグストアや他業種からの参入(コンビニや家電量販店とのコラボも)
・門前から面対応への移行(在庫の増加要因となる)・在宅調剤、施設調剤の対応(効率性の低下)

調剤薬局は全国でコンビニより多くありますが、いまだに調剤薬局チェーン上位10社合計でもシェアは10%にも満たず、まだまだ寡占化が進んでいません。現在大手チェーンを中心に処方箋獲得競争が繰り広げられており、今後3~5年の間に中小の淘汰、業界再編が進展するのは間違いありません。弊社としても多くの中小の調剤薬局のオーナーの売却を支援したいと思います。

藤井一郎

業界別M&A情報:調剤薬局のM&A・売却・譲渡
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06/Dec.2012 [Thu] 16:09

本年も宜しくお願いします

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

1年前も同様でしたが、年内に成約すべく協議を進めてきたものの年末までに間に合わず、年を越してから漸く話が纏まりそうな案件がいくつかあります。

本日、新年早々ですが、一つ調印式があり参加してきました。
異業種の会社が買収によって保育園事業に新規参入にするというM&Aでした。

(参考)業界別M&A情報:保育園・保育所のM&A・売却・譲渡

リーマンショック以降、同業種間のM&Aではなく、異業種の会社による買収(つまり買収による新規参入)が増えているように思います。(同業種の買い手候補にも打診していても、結局異業種の買い手との間で話が纏まるケースが増えています。)

不景気の時代は、経営者は本業に関しても攻めよりも守りの姿勢になりがちで、また同業に対する見方が厳しくなりますが、逆に異業種の会社にしてみれば、一から立ち上げるノウハウがない事業をリーズナブルな価格で買収できる不景気の今がチャンスと言えると思います。

ところで、年初から株価が上がり、一部では景気回復期待の楽観論も出て来ているようですが、私は人口減少という構造的問題がある中で、今後大きな景気回復は期待できないと思っています。

今後は不景気が常態化し(既に常態化していると言えるかもしれませんが)、異業種が比較的良い条件を提示して買収していくパターンが続くと思います。(もちろん異業種と言っても、全く異業種から近接業種までありますが。)

同業の買い手候補は誰でも思いつきますが、異業種の買い手候補というのは、それを専門に情報収集・分析していないと探すことができないので、我々のようなM&A仲介会社の役割はますます大きくなると思います。

ということで更に気を引き締めて、社会的意義のあるM&Aを支援していきたいと思いますので、本年も宜しくお願いいたします。

藤井一郎

06/Jan.2011 [Thu] 21:04

かんぽの宿

「売却価格が低すぎる」として鳩山総務相が強く反対している。
「売却価格が高すぎる」と私は思う。

毎年40-50億円の赤字が出ている事業を、純資産(93億円)を上回る109億円で売却できれば御の字である。
通常M&Aの世界では、大きな赤字が出ている事業が、純資産以上で売れるということはまずない。

派遣切り等で失業が現在大きな社会問題になっており、また事業が赤字を垂れ流している現状において、全従業員の雇用の継続や一括売却が条件(少なくとも希望条件)となったのは妥当であろう。

宿泊・保養施設である「かんぽの宿」は一種の不動産ビジネスと言えるが、昨今これほど多くの不動産会社が倒産している中、不動産事業の買収資金を金融機関から調達するのは極めて困難であるし、買い手自体が相当な信用力がないといけない。
従い、入札前に一部の小規模で信用力・体力がないと思われる買い手企業がはじかれたのは不自然ではない。

もちろんプロセスに出来レース的な要素があったのであれば厳しく追求されるべきだが、今から一から再度売却活動をはじめるとなると、売却するのに半年から1年はかかるだろう。

例えば、半年売却が遅れれば、20-25億円の赤字が追加で発生するので、その分売却価格が上乗せされないと経済的に正当化されない。仕切りなおしで売却活動をしても、より高値で買収するまともな買い手を見つけられるかは極めて疑問である。

経済界は概ね日本郵政・オリックスに同情的と思われるが(或いは触らぬ神に祟り無しということで静観)、政治家が与野党共に鳩山総務相に同調的なのは残念だ。

(弊社は「かんぽの宿」の譲渡に関し一切利害関係はありません。また、新聞報道以上の情報は持っておりません。)

藤井一郎

07/Feb.2009 [Sat] 19:56

M&Aにおける誠実さの重要性

東証マザーズ上場のLTTバイオファーマの子会社である医療コンサルティング会社のアスクレピオスが、虚偽投資で200億円あまりを集め破綻したことがニュースとなっている。

少し調べてみると、LTTバイオファーマは、2007年9月にアスクレピオスを買収したばかりのようだ。
買収の際には、当然デューデリジェンスを実施したであろうが、このような問題は事前に確認できなかったのだろうか?
買収契約書には、このような事態が発生すれば売主に損害賠償請求できるような条項が付いているはずである。しかし、そもそも売り手に損害賠償資力があるのかが疑問であるし、少なくとも上場企業である親会社はレピュテーションの低下という回復困難な損害を受けることになるだろう。
どのような経緯・目的で、買収に至ったかは不明であるが、買主としては、売り手の誠実性を見誤ったということだろうか。

M&Aでは、売り手・買い手の誠実性がそもそものベースにあると思っている。
売り手様からご依頼を弊社として受けるかどうかを判断する場合に、会社の財務状況以上に重視するのが、経営者の誠実性である。
数回お会いするだけでは、本当にその方が誠実かどうかは、判断できない部分もあるだろう。
ただ、一度会っただけでも、“誠実ではない”という印象を持たざるを得ないような方も存在することは事実であり、そのような方からのご依頼は全てお断りすることになる。

弊社の社名の由来でもあるこの誠実性という問題を、再度考え直したいと思う。

籠谷智輝

29/Mar.2008 [Sat] 18:20

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